フォト・エッセイ(7) 高原の風


 ウォーク・ラリーの翌日、6月1日の日曜日、連日の活動をものともしない教会学校のタフなリーダーたち7人と一緒に夏の教会学校キャンプの下見に行ってきた。今年のキャンプの目的地は、兵庫県北部にある兎和野高原だ。下見とはいうものの、わたしとしては半ば遠足気分もあり、写真を撮ったり展望台まで山道を歩いたりして楽しい1日だった。
 ここのところ仕事が忙しかったり、せっかくの休みの日が雨だったりで、なかなか自然の中に出られなかったわたしにとって兎和野高原の自然の中で過ごした1日は癒しのひと時だった。どうもわたしには、対人関係よりも自然との関係で癒される傾向があるらしい。別に孤独が好きというわけではないのだが、自然の中で過ごしていると何か不思議な力に包まれているような安心感を覚える。子どものころ、埼玉の田舎で泥にまみれて成長したからかもしれない。
 今回の山歩きで一番心地よかったのは、高原を吹きわたってくるさわやかな風だった。3時間車の中で過ごしたあとだったからかもしれないが、高原のキャンプ場についたとき風があまりにも心地よく肌にあたってくるのに感動した。湿度をあまり含まない、ひんやりとした、夏の高原独特のあの風だ。キャンプ場を下見している間も、山道を歩いているあいだも、ずっとそのさわやかな風が吹き続けていた。歩いているうちに、前日のウォーク・ラリーでの疲れも、日々の生活の中でのストレスも風に飛ばされて消えていくようだった。
 昨日、早朝の聖堂で祈っていたとき、心の中にまだ前日の風が吹き続けているのを感じた。祈りに集中していると、ときに気持ちがふっと軽くなって、モヤモヤしていた心の中がすっきりすることがある。あのときの感覚が、高原の風に吹かれているときの心地よさに似ていることに気づいたのだ。聖霊がもし風のようなものだとすれば、その風はきっと夏の高原を吹き抜ける、あのさわやかな風だろう。




※写真の解説…上の写真は、平地と比べて約1ヵ月ほど季節が遅い兎和野高原にまだ残っていた新緑。2枚目の写真は、キャンプ場の常設テント。3枚目の写真は、山道のいたるところに咲いていたウツギの花。