やぎぃの日記(25) 修練者たち


 イエズス会の修練者たちが、六甲教会のミサに来てくれた。今、修練者たちは釜ヶ崎の施設で3週間の実習をしているが、その途中で六甲教会に立ち寄ってくれたのだ。イエズス会に入会すると、最初の2年間は修練者として厳しい訓練を受けることになる。わたしも今から10年前くらいは修練者だった。ちょうど午後から何も予定がない日だったので、ミサのあと彼らを六甲山に案内した。
 修練者たちと一緒に過ごせるのは本当にうれしいことだ。彼らと話していると、10年前の自分を思い出す。実際のところ、わたし自身は彼らほどまじめでも誠実でもなかったかもしれないのだが、それでもあの頃を思い出すだけで感慨深いものがある。六甲山の上には凍てつくような寒風が吹きすさんでいたが、たまたま開催中だった氷の彫刻展を見たり、六甲山ガーデンテラスで一緒にお茶を飲んだりしながら暖かい気持でひと時を過ごすことができた。
 修練期は、まったく先が見えない期間だ。その日に何をするかは、当日になってみるまで分からない。外部との連絡もほとんど断たれており、電話をしたり手紙を出したりするにも許可がいる。自由に外出することもできないし、お小遣いがないので買い物をすることもできない。日々の日課は分刻みで決められており、朝6時の起床から夜10時の就寝まで祈りと勉強、労働に明け暮れることになる。ときどきスポーツをしたり、週に1度の休みの日にみんなで散歩に出たりするくらいがせめてもの楽しみだった。
 あの頃は、わたしも文字通り自分の将来のすべて、自分の生活のすべてを神様に捧げて生活していた(ようにも思う)。だが、今はどうだろうか。将来への心配や日々の生活の雑用に心を煩わせて、神様をないがしろにしていないだろうか。修練者たちのために祈り、修道生活の原点を思い出しながら毎日の生活を整えていきたい。
※写真の解説…凍った木々と六甲の街。六甲山ガーデンテラスにて。