バイブル・エッセイ(62) イエス様のお弁当

 このエッセイは、4月19日に行われた子どもたちのための「初聖体・祝福式ミサ」での説教に基づいています。
 その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。そう言って、手とわき腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ。
 イエスは重ねて言われた。「あなたがたに平和があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」(ヨハネ20:19-23)

 「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」イエスは、わたしたちのために御聖体を残すことでこの言葉を文字通り実現してくださいました。神様はイエスを地上に送り出したとき自分のすべてをイエスに与えましが、それと同じように、イエスはわたしたちを福音宣教に送り出すとき自分のすべてをわたしたちに与えてくれたのです。
 この送り出し方は、みなさんのためにお弁当を作って送り出してくれるお母さんの送り出し方に似ている気がします。お母さんはみなさんを学校や遠足などに送り出すとき、時間をかけておいしいお弁当を作ってくれますね。お弁当には、お母さんのみなさんへの愛がいっぱいに詰まっているのです。そのお弁当を食べるとき、どんなに疲れていても体の奥底から力が湧きあがってきます。お弁当に詰め込まれたお母さんの愛が、みなさんの生きる力になっていくのです。
 福音宣教に旅立つわたしたちに、イエスはありったけの愛をこめて御聖体を残してくださいました。御聖体を食べるとき、わたしたちの体の奥底から不思議な力が湧きあがってきます。御聖体に詰め込まれたイエスの愛が、わたしたちの生きる力になっていくのです。御聖体は神様の体ですから、その中には愛だけでなく永遠の命も、無限の力も詰め込まれています。御聖体の中には、わたしたちが生きていくために必要なものがすべて詰め込まれていると言っていいくらいです。
 イエス様は、こんなすばらしいお弁当を持たせてわたしたちを送り出してくださいました。今からみなさんがいただく御聖体は、イエス様の愛がいっぱいに詰まったお弁当なのです。お母さんが作ってくれたお弁当を食べるときのように、心から感謝して食べたいですね。
※写真の解説…開花したばかりのシャクナゲの花。森林植物園にて。