やぎぃの日記(52)大木章次郎神父講演会①


 先日、六甲教会でイエズス会の大先輩、大木章次郎神父様が講演してくださった。30年もの間ネパールで知的障害を負った方々のために働き、「ネパールの大木神父」として知られた方だ。この春、高齢のためついに帰国され、今は東京の上石神井で暮しておられる。
 大木神父とはこれまでに数回お会いしたことがあったが、講演を聞くのは今回が初めてだった。講演は、御自身の召命の話から始まり、ネパールに行った経緯、ネパールでの体験談へと進んでいった。戦時中にあえて特攻隊を志願し、人間魚雷「回天」の搭乗員として訓練を受けたという最初のエピソードから、いきなり会場全体が大木神父の話に引き込まれていった。
 戦争に生き残り、生き残ったら司祭になるという誓いを果して司祭になったこと。大木神父を祈りで支えるために、大木家の6人の姉妹が修道女になったこと。助けを求められたら海外にでも出かけていくよう生徒たちに教えていた手前、イエズス会ネパール管区から協力司祭募集の知らせが来たとき志願せざるをえなかったこと。2年のつもりが、誰も後継者が現れなかったために結局32年ネパールで働いたことなど、わずか90分のあいだにこれまでの生涯を凝縮したような話をしてくださった。
 淡々とした語り口だったが、それでいて会衆の関心をまったくそらさない見事な講演だった。大木神父の話にうなずいたり、笑ったり、涙を流したりしているうちに、あっという間に時が過ぎていった。

※写真の解説…講演会の様子。六甲教会主聖堂にて。