やぎぃの日記(55)舞子の海


 今年も、舞子の海で泳いできた。朝からかんかん照りで、庭の木々に止まったセミたちの鳴き声がわたしを海に誘っているように聞こえる日だった。
 舞子は須磨より遠いし、海水浴場としてそれほど広くはないのだが、そのぶん人が少ない。近くには明石海峡大橋が聳え、遠くには淡路が見える。浜辺のゴミも少なく、泳いだり寝そべったりしてのんびり海水浴を楽しむにはまずまずの場所といえる。六甲からは電車で30分ほどの距離だ。
 どこまでも広がる青い海と空を見ると、もう居ても立ってもいられない。大急ぎで水着に着替え、準備体操をして海に飛び込んだ。海水の心地よい冷たさが、体と心に沁みわたる。海水が心の中にまで流れ込み、心にたまった色々などうでもいいことを洗い流していくようだった。やはり、夏は海で泳ぐに限る。
 泳ぎながら、ふとこの海はどこまでつながっているのだろうと思った。もしかすると、この海水は北極の氷で冷やされ、少しずつ温められながらここまで来たのかもしれない。泳ぐわたしの足がかいた水は、北極で白熊がかいた水と同じ水かもしれない。この水の中をペンギンやクジラたちが泳いでいたかもしれない。いや、かもしれないというより、きっとそうだ。
 ときどき砂浜に上がって日光浴し、体を温めてはまた泳いだ。時間は、あっという間に流れていった。子どものころから感じていることだが、夏の時間はいつもの倍くらいのスピードで流れるようだ。やりたいこと、楽しいことはいくらでもあり、それらを夢中で楽しんでいるうちに気がつくと夏が終わっている。
 今度の日曜日から教会学校のキャンプで高原に行き、帰って来て中1日空けて中高生会キャンプで山に行くことになる。それが終わると、いよいよカルカッタだ。今年の夏も、短い夏になりそうだ。







※写真の解説…舞子海岸にて。1枚目、積乱雲。2枚目、浜辺。3枚目、ピーチパラソル。4枚目、明石海峡大橋