カルカッタ報告(43)8月27日インド博物館へ


 バスは、出発した時と同じくマザー・ハウスの前で止まった。そこで解散だ。デュアルテ神父たちと別れて、わたしたちはマザー・ハウスの向かいにある中華料理屋さんで昼食をとった。
 昼食後は、メンバーたちからのリクエストでインド博物館へ行くことになっていた。わたし自身は昔何回か行ってあまりいい印象を持たなかったので気が進まなかったが、インドの歴史や文化を知りたいという参加者たちの声に負けて「まあ、行くだけ行ってみようか」ということになったのだ。博物館に一応行ってからエスプラネード経由でフーグリー川に出て、そこからフェリーでハウラーに渡ったらいいとわたしは考えていた。
 まだみんな人力車を体験したことがなかったので、今回は博物館まで人力車に分乗していくことにした。マザー・ハウスの近くにあるリポン・ストリートという割と幅の広い道に、いつもリキシャーが何台か止まって客待ちをしている。わたしたちはレストランを出て左に進み、リボン・ストリートまで歩いた。午前中ずっと降り続いていた雨は、幸いなことにもう上がっていた。
 リキシャー(rickshaw)というのは、人間を乗せた荷台を人の足、ないし自転車、バイクで引いて行くインドや東南アジアの国々でおなじみの乗り物だ。引くものが何かによって名前が違い、人が引くものをリキシャー、自転車が引くものをサイクル・リキシャー、バイクが引くものをオート・リキシャーと呼ぶ。リキシャーという名前自体は、日本の人力車に由来しているそうだ。発明したのが誰かについては、アメリカ人説と日本人説が分かれているという。
 中でも人が引くリキシャーはカルカッタの名物だ。インドの他の大都市は、交通の邪魔になるということでリキシャーを禁止している。カルカッタでもこれまでに何回か禁止令が出され、リキシャーが集められて廃棄処分されるというようなことまであったようだが、そのたびにリキシャー引きたちが反対運動を起こしてなんとか今日まで生き残ってきたのだ。このリキシャーを、ぜひメンバーたちに体験してもらいたいと思っていた。
 リボン・ストリートに行くと、残念ながら並んで客を待っていたのはサイクル・リキシャーばかりだった。わたしの印象では、どうやらリキシャーの数が昔より少なくなり、サイクル・リキシャーの数が増えたようだった。仕方がないので、わたしたちはサイクル・リキシャー3台に分乗して博物館に向かうことにした。料金は1台50ルピーだった。
※写真の解説…裕福そうな婦人を載せた人力車。