カルカッタ報告(84)8月29日ビクトリア・メモリアル①


 マイ・ダーンでのんびり昼食をとった後、わたしたちはマイ・ダーンの南端にあるビクトリア・メモリアルに入った。外国人の入場料がインド人の入場料の10倍なのは、収入の格差を考えればまあ仕方がないだろう。インドの有名な観光地では、どこでも外国人向けの特別料金が定められている。
 昔、20代の前半の頃にみたときはそれほど大した建物だと思わなかったのだが、今回改めて見るとかなり大した建物だと思った。青空と真っ白な大理石の建物、そして庭の緑がとても美しい調和を作り出している。昔は、こういうものの美しさを味わうだけの余裕がなかったのかもしれない。
 ビクトリア・メモリアルは、文字通りビクトリア女王によるインド統治を記念して1921年に建設された。現在、内部はビクトリア女王に関係する美術品を集めた美術館になっている。2階建ての、かなり大きな美術館だ。
 わたしたちも中に入って美術品を見ることにした。入ってすぐのところにあるホールには、ビクトリア女王の等身大の像や絵、インド統治に功績のあった貴族たちの絵などがずらりと並べられていた。セポイの乱を鎮圧した貴族、東インド会社の発展に貢献した貴族などの恰幅のよい姿はとても美しかったが、インドの人たちから見たらどうなのだろうか。結局のところ、彼らはインドを武力で征服し、富を搾取していった強盗のような連中なのではないだろうか。そう考えると、これはどうも微妙な展示だなと思った。
※写真の解説…イギリスによる統治の象徴、ビクトリア・メモリアル。