カルカッタ報告(97)8月30日最後の散歩①


 ミサの後、わたしたちは荷造りのためホテルに帰ることにした。12時までに部屋を空け、チェック・アウトしなければならないからだ。チェック・アウトの後は、4時半に始まるSr.クリスティーの日本人ボランティア向け勉強会までまた自由時間だ。
 幸い、今日も朝からいい天気だ。昨日、ビクトリア・メモリアルに行けなかったメンバーたちは、チェック・アウトを済ますとビクトリア・メモリアルに出かけて行った。わたしは、残されたもう一人のメンバーと一緒にカルカッタの街を散策することにした。わたしたちはまず昼食をとるため、サダル・ストリートに向かった。
 カルカッタの人混みが持っている独特の熱気と活力を全身で吸い込むようにしながら、わたしはイスラム教地域のマーケットをゆっくり歩いて行った。わたしにとってはたまらなく心地よく、魅力的な人混みだ。この空気をしっかりと全身に浸みこませて帰りたい。
 感慨に浸りながら歩いているうちに、1本道を間違えてわたしたちはサダル・ストリートではなくニュー・マーケットに出てしまった。まあ、急ぐわけでもないから構わないだろう。マーケットの賑わいをまたしっかりと体に浸みこませながら歩いていると、後ろからけたたましい鶏の鳴き声が聞こえてきた。なんだろうと思って振り返るわたしたちの横を、前後の荷台に鶏をびっしり乗せた自転車が通り過ぎて行った。みな足をひもで結ばれ、逆さ吊りにされている。ラーマが愛した聖なる動物である牛をヒンドゥー教徒は絶対に食べない。豚は豚で汚れた生き物と考えられているから、結果として肉を食べる人は鳥肉かマトンを食べることになる。気の毒な鶏たちを見送りながら、わたしたちはサダル・ストリートに向かって歩いて行った。




※写真の解説…1枚目、ニュー・マーケットにて。2枚目、鶏を満載した自転車。3枚目、チョーロンギー・ストリートの果物屋さん。