マザー・テレサの言葉を読む(20)残りのことはイエスが


あなたが苦しんでいることを
すべてイエスの足元に運びなさい。
ありのままでイエスから愛されるためには、
ただ心を開くだけでいいのです。
残りのことはイエスがしてくれます。

 心を開いてありのままの自分をさらけだす、それはとても簡単なことに見えて、実は難しいことかもしれません。なぜならわたしたちには、自分自身でさえ自分のありのままの姿を受け入れられないことがたびたびあるからです。
 わたしたちは自信のあることを失敗したとき、人から自分の欠点を指摘されたときなど、むきになって弁解してしまうことがあります。失敗が実力の結果であり、欠点がその通りであったとしても、なかなか自分の弱さを認めることができないのです。人間には、このような傾向があると思います。わたしたちは普段、実際の自分よりも少しいい自分を「ありのままの自分」と思いこむことで自分に自信を持って生きているので、不完全で弱い本当の「ありのままの自分」をなかなか受け入れることができないのです。
 わたしたちが「ありのままの自分」と思い込んでいるのは、往々にして自分が決めた自分の理想の姿、「そうあるべき自分」です。「ありのままの自分」と「そうあるべき自分」はなかなか一致しませんが、一致しないとわたしたちは自分自身に腹を立てたり、自分を認めてくれない周りの人たちに腹を立てたりして苦しみます。「どんなにがんばってもうまくいかない、こんなはずはない」と自分を責めたり、「みんなが本当の自分を分かってくれない」と他人を責めたりしてしまうのです。
 まず「ありのままの自分」、不完全で弱い本当の自分を認めることから始めましょう。わたしたちが自分の不完全さ、弱さを隠している限り、イエスは何もすることができません。神の愛に信頼して不完全さや弱さを受け入れ、「不完全なこの弱いわたしをお助けください」と心の底から叫ぶことができたときにこそ、イエスはありのままのわたしたちをしっかりと受け止めてくださいます。そして、「残りのことはイエスがしてくださる」のです。