やぎぃの日記(88)具正謨神父の典礼講習会


 7月17日と18日の2日間、イエズス会司祭で上智大学神学部准教授の具正謨(クー・チョンモ)神父が、六甲教会で信徒のための典礼研修会をしてくださった。ミサを構成する各部分の意味や歴史的な背景について、具神父ご自身の韓国や日本、アメリカでの体験なども織り交ぜながら分かりやすく解説してくださるとてもすばらしい講習会だった。改めて気付かされたこと、学んだことがとても多かった。
 例えば、ミサの冒頭で司祭と信徒の間に交わされる挨拶だ。「主は皆さんとともに」、「また司祭とともに」といういつも何気なくしている挨拶なのだが、具神父によればこれこそユダヤキリスト教の伝統における真の挨拶なのだという。深刻な悩みを抱えたり、さまざまな仕事に追われる中で、ミサに集まった会衆は自分たちの傍にいつも神がいてくださることを忘れている場合がある。その会衆に、まず司祭が「主は皆さんとともに」と言って神がいつも彼らとともにいることを思い起こさせるのだ。それに応えて、会衆も司祭に同じことを思い起こさせる。この挨拶こそが真にユダヤキリスト教的な挨拶であって、その挨拶の後に「こんにちは」というようなことをあえて付け加える必要はないとのことだった。そう言われてみれば、確かに受胎告知の場面でも天使がマリアに「主があなたたと共におられます」と挨拶している。
 2日目の研修会の前に、具神父の司式によるミサも行われた。典礼書の指示に忠実な、とても美しいミサだった。正確で丁寧な所作の一つひとつもすばらしかったが、何より胸を打ったのは具神父の全身からあふれ出す聖性だった。具神父の人格に備わった聖性と美しい所作が結合して、一つひとつの言葉、一つ一つの所作がはっきりとした「神の愛の目に見えるしるし」になっているように感じた。わたしもいつか、あのようなミサを立てられるようになりたいものだ。