マニラ日記(35)ラルシュ・プンラ訪問Ⅰ〜ラルシュ共同体


2010年12月7日(火) ラルシュ・プンラ訪問
1.ラルシュ共同体
 12月4日から6日にかけて、2泊3日でマニラ郊外にあるラルシュ共同体を訪ねた。
 ラルシュ共同体は、退役軍人で大学の哲学講師だったカナダ人、ジャン・バニエが1960年代にフランスで設立した共同体だ。ある日、知的障害を負った人々が劣悪な環境の施設に閉じ込められているのを目撃して心を痛めたジャン・バニエは、彼らが家庭と同じぬくもりの中で生活できる場を作りたいという一心からラルシュ共同体の設立を思い立った。彼が活動を始めると、彼と同じ思いを抱いた人々が次第に彼の周りに集まり、ラルシュ共同体は世界中に広がっていった。現在では世界30ヶ国に131の共同体があり、日本では静岡市にある「かなの家」がよく知られている。
 神学生時代、わたしはたびたび「かなの家」を訪れ、共同体の生活を体験させてもらっていた。厳しい勉学に追われる神学生時代、いつも温かな家庭のぬくもりの中に迎え入れてくれる「かなの家」はわたしにとってとても大切な憩いの場所だった。初めて訪ねたときから、まるで田舎の親戚の家を訪ねたような温かさを感じたから不思議だ。
 今回、マニラのラルシュ共同体を訪ねることにしたのも、わたしがマニラに行くことを知った「かなの家」の責任者の西田さんが強く推薦してくれたからだった。
※写真の解説…ラルシュ・プンラ共同体の建物。右が作業所で左が住まい。