マニラ日記(43)クリスマス実習3〜二つの叙階式①原住民司祭の誕生


2010年12月14日(火) 二つの叙階式
原住民司祭の誕生
 昨日、今日と2日続けてボントック・ラガウェ代牧区の叙階式が行われた。それぞれの新司祭の出身教会で叙階式を行うために日にちをずらして、2日連続というとになったらしい。(※代牧区バチカンから財政、人材面での支援を受けている司教区。宣教地に多い。教区の前段階。)
 昨日の叙階式は、ボントックから車で1時間半ほどのところにあるバウコの街で行われた。バウコから司祭が出るのは30年ぶりということで、街を挙げての盛大なミサとお祝いだった。今日の叙階式は、司教座聖堂であるボントックの教会で行われた。さすがマウンテン州最大の街だけのことはあって、こちらにも数千人の人々が集まった。
 どちらの叙階式でも、原住民の民族衣装で出席している人たちの姿が目立った。この代牧区は司祭も信徒も、みなイゴロット族という誇り高き原住民の末裔なのだ。最近は、民族衣装や民芸品を身に着けることで自分たちのアイデンティティーを再び自覚しようという動きが特に高まっているらしい。今回叙階された2人も、それぞれ近隣の村で生まれ育った根っからのイゴロットだ。
 式典の中でイゴロットの誇りが最も強く感じられたのは、奉納行列の時だ。まず行列の先頭を切って、数十人の高校生たちが原住民の衣装を着て踊りながら入堂してきた。どちらの叙階式でも、その後には米を筆頭にインゲンマメやイモ、ニンニク、バナナ、キャベツなどこの地方の棚田や段々畑で獲れる作物を満載した籠を頭に乗せた人たちの長い行列が続いた。神から与えられた恵みをすべて捧げて、叙階の恵みに感謝しようということらしい。
 もちろん、まだ20代の新司祭たちの精悍な顔つきからもイゴロットの気高い誇りが感じられた。山々の奥深くまで分け入り、原住民の人々と寝食を共にしながら福音宣教の旅を続けるのがこの代牧区の司祭たちの役割だ。代牧区の他の司祭たちとともに彼らを囲み、祝福しながら彼らの召命ために心から祈らずにいられなかった。 
※写真の解説…ボントックでの叙階式の一コマ。