マニラ日記(53)任務完了


12月27日(月)任務完了
 昨日はナトニン教会で主日のミサを立てた後、アリアワン村にミサを立てに行った。アリアワン教会でミサを立てることと、教会のクリスマス・パーティーに出席することがこの実習でわたしに与えられた最後の任務だった。
 何とか任務が無事に果たせそうだと楽観した矢先、思いがけないハプニングが起こった。ナトニンでのミサが終わった頃から体に力が入らなくなったのでおかしいと思ってはいたのだが、アリアワンでミサを立て、6人の子どもたちの洗礼式まで何とか無事に終えたところで体調が本格的に崩れ始めたのだ。しばらく香部屋で横になっていたのだが、やがて激しい腹痛が始まった。何度かトイレに駆け込んでいるうちに落ち着いたので、なんとかクリスマス会に顔を出すことはできたが、ときどき抜け出して香部屋で横にならなければならなかった。
 クリスマス会ではお年寄りたちがわたしへのサービスか「はとぽっぼ」の歌を振りつきで歌ってくれたり、聞いたこともない日本語の軍歌を披露してくれたりした。香部屋で寝ていた時にも、心配した長老がやって来て、村に古くから伝わる悪霊払いの儀式をしてくれた。急な腹痛は、辺りをさまよう老人の霊が背中に憑くことで起こるのだそうだ。
 信者さんたちのいたわりのお蔭でなんとか体調を立て直し、ナトニン村まで戻ってきたが、夜に入ってまた激しい腹痛に襲われた。熱も39度まで上がった。典型的な食あたりの症状だ。眠れぬ夜を過ごして、今朝一番で病院に行ってきた。いつもお医者さんがいる病院ではないから、たまたまお医者さんに会えたのは幸運なことだ。注射を打ってもらい、下痢の対策としてユニセフ支援物資の「命の水」の素をもらってきた。まさか、こんなところでユニセフのお世話になるとは思わなかった。
 注射と薬が効いて、午後には大分体調がよくなってきた。このままよくなれば、きっと明後日の朝のジープニーでボントックまで戻ることができるだろう。ボントックまで戻れれば、マニラまで帰るのは簡単だ。
※写真の解説…アリアワン村付近の棚田。