やぎいの日記(94)福島で感じたこと3〜被災教会を周って


被災教会を周って
 福島での2日目、柳沼千賀子さんの車で被災したカトリック教会をさらに4ヵ所ほど周り、司祭や信徒の皆さんから話を聞いた。震災の被害は、木造の古い教会に集中しているようだった。内部を改装したばかりの郡山教会や新築のいわき教会、鉄筋コンクリート製の小名浜教会はほとんど被害を受けていなかったが、木造の須賀川教会や湯本教会は壁や天井に大きな亀裂が入る被害を受けていた。須賀川教会と湯本教会については、もう取り壊す以外にないだろうとのことだった。幸い建物への被害は小さかったが、小名浜港から数キロのところにある小名浜教会では、津波のときに水が玄関先まで来たとのことだった。
 残念ながらお会いすることはできなかったが、湯元教会の信徒会館を拠点にしてボランティア活動をしておられる信者さんたちがおられるとのことだったので、いわき教会の神父様を通して差し入れのお菓子を届けてもらうことにした。後で聞いたところでは、この地域はさいたま教区が今後サポートしていくとのことだった。海沿いに広がるいわき市では、すでに290人の犠牲者が確認され、80人の方々が未だ行方不明になっている。
 小名浜教会を訪ねた後、小名浜港に足を延ばした。教会から数百メートル進むと、ほとんどの家が津波によって破壊され、使えなくなった家具などが道路に山積みされていた。港の突堤には大小さまざまな漁船が打ち上げられ、津波の威力のすさまじさを物語っていた。わたしは突堤の先端まで行って、カルカッタから預かってきた「不思議のメダイ」を、祈りながら海に投げ入れた。わたしが帰国するとき、マザー・テレサの2人目のシスターで今年82歳になったSr.ガートルードが、津波にのまれて亡くなった人たちの魂の安らぎのために、これを東北の海に投げ込みなさいと言って「不思議のメダイ」を一掴みわたしに託したのだ。聖母の取り成しによって、津波の恐怖と痛みの中で亡くなった人たちの魂が天国で癒されるようにと祈らずにいられなかった。
★今回の福島訪問の様子は、柳沼千賀子さんのブログでも紹介されています。関心のある方は、ぜひそちらもご覧ください。⇒ http://d.hatena.ne.jp/cyaginuma/  
※写真の解説…津波に襲われた小名浜港の惨状。