フォト・レポート(95)津波の爪痕〜南相馬市原町区

津波の爪痕〜南相馬市原町区

カトリック原町教会を訪れた後、原町区の海岸部に向かいました。この周辺でいくつもの集落が流され、500人以上が犠牲になったとのことでした。今となってはもはやどこが集落でどこが畑だったかの見分けもつかず、ところどころに残っている電信柱の残骸や建物の土台だけがかつての集落の存在を暗示しています。

ところどころ破壊された防波堤に上がって、福島第一原発の方向を眺めました。見えている岬はもう半径20キロ圏内の警戒区域です。

この美しく穏やかな海が10数メートルの津波となって人々を襲ったとは、にわかに信じられません。「すべてを与えてくれた恵みの海が、すべてを奪っていった。もう一度この海からすべてをもらおう」という漁師さんの言葉を思い出しました。

津波がここで止まった「運命の道路」、国道6号線沿いの畑には、今もたくさんの漁船が転がっていました。こんなに大きな漁船をここまで運んでくるとは、一体どれほど大きな波だったのでしょう。

見渡す限り、あちこちに漁船が見えました。修理すればまだ使える船もあるかもしれません。1日も早く持ち主のもとに戻ることを祈ります。