やぎぃの日記(118)東北被災地はいま4〜牡鹿半島


東北被災地はいま4〜牡鹿半島
 牡鹿半島先端部にある十八成浜に住む、カトリック信徒の遠藤さんを訪ねるため、わたしたちは女川から牡鹿半島に入った。ところどころ地震の影響で段差ができたり崩れたりしている道を揺られながら進んでいく途中、左手の海岸沿いに女川原子力発電所の巨大な建物が見えた。この発電所も大きな津波を受けたに違いない。十八成浜に着くまでに入り江ごとに点在する戸数50-100くらいの小さな集落をいくつか通り抜けたが、ほとんどの集落が壊滅的な打撃を受けていた。驚いたことに、岬が防波堤の代わりになって守られ、ほとんど被害を受けていない集落もいくつかあった。海沿いまで迫った山肌のとんでもない高さのところにひっかかった漁網やブイなどが、津波のすさまじさを物語っていた。
 遠藤さんの住む十八成浜は、かつて白砂青松の海水浴場として有名な場所だった。ところが津波によって砂浜は消失し、松も流されて今は見る影もない。集落でも約100戸が流され、2人の犠牲者を出した。隣家まで流されたが、やや高台にある遠藤さんの家はかろうじて波を免れたという。ちょうど昼時だったので、遠藤さんのお宅でとれたてのサンマを刺身でいただいた。女川港で水揚げされたばかりだというサンマは、身が引き締まってとてもおいしかった。
 遠藤さんの話では、今、被災者のあいだに温度差が広がっているという。家屋を流された被災者たちにはさまざまな面での支援があるが、家屋は流されなかったものの勤め先を失ったり、地震で家屋が半壊しただけの被災者にはなんの支援もない。支援物資は被災者の誰にとってもありがたいものなので、もっとまんべんなく配ってもらえないかとのことだった。住宅地の再開発に向けても、区画整理に伴う土地の収用などで難しい問題が起こりそうだという。
※写真の解説…牡鹿半島の漁村で、片付け作業をするボランティアたち。