やぎぃの日記(126)福島のお母さんたち7〜私たちにできること


福島のお母さんたち7〜私たちにできること
 避難するべきかどうかの十分な判断材料も、避難を可能にする経済的裏付けもないまま福島に留まり、放射能の汚染から子どもたちを守り続けているお母さんたちにとって「放射能を気にしなくていい場所で子どもたちを思う存分遊ばせてあげたい」ということこそ最も切実な願いに違いない。外部にいるとなかなかそこまで考え付かないが、言われてみればまったく当然のことだ。
 子どもたちを短期間引き受けて思う存分に遊ばせてあげるという活動は、おそらく教会やキリスト教系学校が最も得意とすることの一つだろう。教会学校のキャンプや宿泊錬成会などで培われたノウハウと、修道会や学校が持つセミナーハウスなど施設、教会の人々や御父兄の財政的な支援を組み合わせられさえすれば実現するはずだ。先日、ある集いでプロテスタント系私学の先生にこのことを話したところ、福島にある関連教会の子どもやその友だちを集めてバスで大阪まで来てもらい、学校のセミナーハウスに泊まってもらうことは簡単だ。費用は「母の会」がすぐにでも集めてくれるだろう、と言ってくださった。やる気さえあれば、きっとできることなのだ。
 この活動には福島の母子だけでなく、迎える側にとっても大きなメリットがある。今、教会や学校では被災地との絆を結ぶため、被災地にボランティアを送る活動が盛んに行われている。しかし、残念ながら原発事故が未だ終息していない福島に若者たちを連れていくことは、教会にとっても学校にとっても困難だ。逆に、福島の子どもたちにわたしたちの教会や学校に来てもらうことができれば、若者たちと福島との間に確かな絆を結ぶことができるだろう。さらに、以前に指摘した差別の問題を克服するための教育にもなる。福島の子どもたちとの出会いは、放射能への恐れが作り出す心の壁を簡単に打ち壊すはずだ。また、これを機会に原発事故がもたらす被害の大きさを知ることは、日本の未来を考えるために大きな指針ともなろう。福島の現実を知って、今まで通り原発を使い続けたいと思う人はそれほど多くないはずだ。
 来年の夏、神戸でも何らかの形でこの試みを実現させたいと思っている。教会やキリスト教系学校が、今こそ底力を見せるときだ。
※写真の解説…カトリック六甲教会、教会学校キャンプにて。