バイブル・エッセイ(254)魂の医者


魂の医者
 エスは、レビという徴税人が収税所に座っているのを見て、「わたしに従いなさい」と言われた。彼は何もかも捨てて立ち上がり、イエスに従った。そして、自分の家でイエスのために盛大な宴会を催した。そこには徴税人やほかの人々が大勢いて、一緒に席に着いていた。ファリサイ派の人々やその派の律法学者たちはつぶやいて、イエスの弟子たちに言った。「なぜ、あなたたちは、徴税人や罪人などと一緒に飲んだり食べたりするのか。」イエスはお答えになった。「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである。」(ルカ5:27-32)
 体の不具合に気づいたとき、わたしたちはどうするでしょうか。咳が出る、体がちょっとだるいということであれば、きっと買い置きの薬を飲んだり、栄養のある食事をとったりして治そうとするでしょう。しかし症状がさらに進んで高熱が出たり、吐き気がしたりするようになれば、もう自分では無理とあきらめてお医者さんに診てもらうのではないでしょうか。一度お医者さんに行けばもう恥も外聞もなく体の隅々まで調べてもらい、悪いところを徹底的に探し出してもらうはずです。手遅れにならないうちにお医者さんに行くのが何よりだと思います。
 心の不具合に気づいたときにも、同じようなことが言えるでしょう。いらいらする、嫌なことを思い出して腹が立つというようなとき、わたしたちはまず何か手近なところでストレスを発散しようとするでしょう。お酒に手を出したり、漫画を読んだり、走ったり、何かそのようなことです。しかし症状がさらに進んで、何もかも馬鹿らしくなった、誰かへの憎しみが心を離れないというようなことになってくれば、ただちに祈りの時間をとり、イエスに心を診てもらうべきです。診てもらう以上はもう恥も外聞もありません。ありのままの自分の心を隅々までイエスの前にさらけ出し、悪いところを見つけて頂きましょう。心を癒すことにかけてイエスほどの名医はどこにもいませんから、手遅れにならないうちにイエスに診てもらうのが何よりです。
 体の具合が悪くなったときにできることが、心の具合が悪くなったときにできないはずはありません。どちらも、早め早めの対処が肝心です。この四旬節、体の健康管理と一緒に、心の健康管理にも努めたいですね。
※写真の解説…開花寸前の紅梅のつぼみ。カトリック六甲教会にて。