フォト・ライブラリー(300)夏の長崎巡礼〜後半

夏の長崎巡礼〜後半

長崎巡礼と言えば、やはりクライマックスは西坂の二十六聖人記念館でしょう。かつては、この記念館がある小高い丘のすぐ下にまで海岸線が達しており、海を行き来する船から二十六聖人を磔にした十字架がよく見えたと言われています。

二十六聖人の一人でイエズス会の宣教師、パウロ三木の像です。雄弁な説教で人々を惹きつけたというパウロ三木は、十字架上から「私はキリスト教を信じたというだけで殺されるのである。この理由のゆえに私は命をささげることをいとわない。私はキリストの教えに従い、自分の処刑を命じた人と処刑にかかわったすべての人を許したい」と叫んだと言われています。

かつての凄惨な処刑場も、今は平和な公園。長崎の街のあちこちでみかける「チリンチリン・アイス」のおばちゃんが、公園の片隅でお客さんを待っていました。おばちゃんが売っているアイスは、無脂肪なので「アイスクリーム」ではなく「アイスクリン」と呼ばれています。

二十六聖人記念館から裏手の山をさらに上り、斜面いっぱいに広がった墓石を通り抜けながら進んでいくと、イエズス会黙想の家がある立山に出ます。立山から見た夕暮れ時の長崎の街は、こんな感じです。遠くに見える吊り橋は、2005年に開通した女神大橋です。

イエズス会黙想の家の庭にも、パウロ三木の銅像が建てられています。現代社会に生きるわたしたちに、パウロ三木は一体何を語りかけようとしているのでしょうか。

稲佐山の上に、茜色の雲がかかりました。頂上部分に通信用のアンテナが林立する稲佐山は、長崎のシンボルと言っていいでしょう。街のどこからでも見上げることができます。

入道雲も、夕日を浴びて茜色に輝いています。この中から「神の国」が姿を現したとしても不思議ではないなと思わせる、幻想的な景色でした。

立山からの夜景です。女神大橋もライトアップされてきれいですね。

最後はおなじみ、稲佐山から見る100万ドルの夜景。神戸、函館と並んで日本三大夜景と称される絶景です。地味ではありますが、しかし着実に、力強く命の営みを続ける長崎の街。この地で数百年のあいだ黙々とキリスト教が継承され、宣教師たちを驚かせたというのも、なんだかわかるような気がします。