祈りの小箱(9)ケンピス『愛さえあれば』


トマス・ア・ケンピス『愛さえあれば』
 前回、トマス・ア・ケンピスの著作『キリストに倣いて』の中から、「人生の十字架」という言葉をご紹介しました。今回は、どうしたらわたしたちは「人生の十字架」を喜んで運ぶことができるのか、わたしたちが「人生の十字架」を軽々と背負ってゆくための秘訣が述べられた箇所をご紹介したいと思います。マザー・テレサも大好きで、たびたび引用していた箇所です。
 どんな重荷も軽々と喜んで運ばせる力、それは愛だとケンピスは言います。「愛さえあれば、どんな荷も重いとは感じない。苦労を苦労とも思わず、かえって、喜んで自分ができる以上のことをしようとする」と言うのです。これは確かにその通りでしょう。恋人のためにプレゼントを買ったり、子どものために朝早く起きてお弁当を作ったり、そのようなことを「重荷」と感じる人はあまりいないと思います。愛する恋人や子どもたちの笑顔のためならば、そのくらいのことは何でもないのです。むしろ張り切って、自分ができる以上のプレゼントをしたり、お弁当を作ったりしようとするに違いありません。愛さえあれば、どんな苦労も数のうちには入らないのです。
 逆に、もしそういったことを苦痛に感じるようになれば、そのときは黄色信号と思った方がいいでしょう。それは、わたしたちの心の中に相手への愛が少なくなってきているしるしなのです。愛がなくなると、わたしたちは相手のことよりも自分のことを先に考えるようになります。そして、どんな小さなことでも「なぜわたしがこんなことをしなければならないんだ」という気持ちになってゆくのです。
 神から与えられた使命という十字架を、喜んで担っていくために必要なもの、それは愛に他なりません。愛によって、あらゆる困難を乗り越えてゆくことができますように。
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