祈りの小箱(18)ベネディクト16世『本当の人生を受け取るとき』


ベネディクト16世『本当の人生を受け取るとき』
 今回ご紹介するのは、名誉教皇となられたベネディクト16世が、教皇職から退位する直前の一般謁見で語られた言葉です。
「人間は、人生を捧げ物として神に差し出すまさにそのとき、本当の人生を受け取る」、最初に読んだとき、この言葉がわたしの心に深く突き刺さりました。わたしたち人間は、自分の人生にしがみついている限り、「本当の人生」を生きることができないというのです。
 「本当の人生」とは何でしょう。それは、神が望まれるままに生きる、本当に人間らしい、自分らしい生き方のことだと思います。神の望みのままに生きることこそが、わたしたちの人生の本来の姿であり、「本当の人生」なのです。
 神の望みは、ときにわたしたち自身の望みとは大きく異なる場合があります。わたしは今のこの快適な生活にとどまりたいのに、神はわたしをどこか別の場所に派遣したいと望んでおられる。わたしはあの人を絶対にゆるしたくないのに、神はゆるすようにと望んでおられる。そんなことがあるのです。
 そんなとき、いつまでも自分の思いにしがみついていれば、わたしたちの心はかき乱され、不安や怒りでいっぱいになってゆくでしょう。自分の思いのままに生きる人生を手放し、自分の人生をすっかり神の手に委ねるときにだけ、喜びに満たされたわたしたちの「本当の人生」が始まりまるのです。ベネディクト16世は、教皇としてあらゆる私的な生活を神に差し出し、自分の人生をすっかり委ねきることで、それをはっきりと感じ取ったのでしょう。
 名誉教皇ベネディクト16世の模範にならって、わたしたちも、自分の思いのままに生きる人生を神の手に差し出し、神の御旨のままに生きる「本当の人生」を頂きたいと思います。
★このカードは、こちらからPDFでダウンロードできます。⇒ 『本当の人生を受け取るとき』.PDF 直
★なお、先日こちらで掲載した一般謁見の抄訳に、一部誤訳がありましたことを心よりお詫び申し上げます。