【フランシスコ教皇の復活徹夜祭説教】


フランシスコ教皇の復活徹夜祭説教
3月30日の晩(日本時間の31日早朝)にサン・ピエトロ大聖堂で行われた復活徹夜祭ミサでのフランシスコ教皇の説教を、ラジオ・バチカンの英語版テキストから抄訳してみました。章立てはもともとの原稿にまとめの祈りの4を追加、各章の見出しは便宜上わたしが付けたものです。どうぞお役立てください。
1.新しいことを恐れてはならない
「墓に入らなかった弟子のように、私たちは神が引き起こすまったく新しいことを恐れてしまいがちです。ですが、神はいつも私たちを新しいことで驚かせます。神が与えて下さる新しさに心を閉ざさないようにしましょう。くたびれ、落胆し、悲しみに沈んでいることはないでしょうか。罪の重荷に押しつぶされてしまうことがないでしょうか。もうどうにもならないと思い込むことがないでしょうか。心を閉ざさないようにしましょう。信頼を失わないようにしましょう。あきらめてはいけません。神が変えられない状況など存在せず、私たちが神に心を開いている限り神がゆるすことができない罪など存在しないのです。」
2.キリストは生きておられる
「愛によって行われたとても簡単な行為、墓に入るという行為は、いまや人生を変える出来事になりました。もう昔のままであるものは何一つありません。この女性たちだけでなく、私たち自身の人生も、人類の歴史もすっかり変えられてしまったのです。キリストは死んでいません。復活されたのです。生きておられるのです。単に蘇ったということではありません。いまや、キリストは生命そのものになられたのです。それは、キリストが生きている神の子だからです。」
「イエスはもはや過去にはおられず、今このときに生き、未来へと向かっています。イエスは永遠に続く神の『今日』なのです。神の新しさはこうして現されます。それは罪や悪、死に対する勝利であり、人間の命を踏みにじり、尊厳を奪うすべてのものへの勝利なのです。愛そのものである方は、いったい何度私たちに『生きている者を死者の中に探してはいけない』と呼びかけなければならないのでしょう。生活の労苦は、私たちを自分の中に、悲しみや苦しみの中に閉じ込めます。そこにあるのは死です。それは生きている方を探すべき場所ではないのです。復活したイエスを人生にお迎えしましょう。信頼をもって、友として迎えましょう。イエスは生命そのものなのです。」
3.神の恵みを思い出す
「天使は、『あの方がお話しになったことを思い出しなさい』と弟子たちに語りかけました。これまでの人生の旅路を思い出すことによって、私たちの心は未来に開かれます。人生の旅路で神がして下さったすべてのことを思い出す習慣を身に付けましょう。」
4.最後の祈り
「この光り輝く夜に、これらすべての出来事を心に納め、思い巡らしたおとめマリアのとりなしを願いましょう。そして、復活に与らせていただくことができるよう主に願いましょう。主が、人生を変える新しさに向かって私たちの心を開いて下さいますように。私たちの人生と全人類の歴史において神がして下さったことを、覚えている者にして下さいますように。生きていて私たちの間で働く主の存在を感じさせて下さいますように。日々の生活の中で、死者の中に生きている方を探してはならないと教えて下さいますように。」