祈りの小箱(62)『もっとすばらしい関係』


『もっとすばらしい関係』
 とても大切にしていた人間関係が、自分の不注意な言動や相手の裏切りによってあっという間に壊れてしまった。そんな体験が、きっと誰にでもあるでしょう。そんなとき、深い苦しみの中で「あんなことをするんじゃなかった」と自分を責めたり、「なぜあの人がこんなことを」と相手を責めたりしてもどうにもなりません。一度壊れてしまった関係をもとに戻すことは、誰にもできないのです。
 ですが、失望する必要はありません。元通りの関係を作ることはできなくても、前よりもっといい関係を作り直すことはできるからです。人間どうしの関係は、多くの場合、無数の誤解に基づいて作り上げられています。どんなに親しいと思っている関係であっても、相手についての誤解、自分自身についての誤解が積み重なって、その上にかろうじて出来上がっていることが多いのです。前の関係が壊れてしまったのは、その誤解の1つ、それも比較的大きめの誤解が明らかになってしまったからです。思わず出てきた自分の言葉から、自分でも気づいていなかった自分のずるさが明らかになったり、思いがけない相手の行動によってそれまで知らなかった相手のエゴが明らかになったりするとき、「こんなはずではなかったのに」ということになって、関係が壊れてしまうのです。
 どれほど親しい関係も、その土台に誤解が隠れている限りいつ壊れてもおかしくありません。ぐらぐらした土台の上に建てられた塔は、どんなに高くても、ちょっとしたきっかけで壊れるものなのです。そのような人間関係が壊れたのは、むしろいいことだったかもしれません。相手を失った苦しみの中で誤解に気づき、自分自身の欠点を受け入れ、互いの弱さをゆるしあうことができるなら、こんどはもっとすばらしい関係を築いていくことができるでしょう。ありのままの自分を受け入れ、ありのままの相手をゆるすとき、そこから初めて本物の人間関係が始まるのです。もし土台に誤解というぐらぐらした岩が入っていないなら、しっかり踏み固められた真実の上に建てられているなら、その関係は揺らぐことも崩れることもありません。
 人間関係が壊れた苦しみ、相手を失った苦しみに呑みこまれそうなときには、自分自身の欠点を直視する勇気、相手の弱さを受け入れる力を神に願いましょう。そこからすべてが始まります。
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