フォト・ライブラリー(400)初秋の伊吹山登山〜後半

初秋の伊吹山登山〜後半

初秋の伊吹山登山、後半をお届けします。6合目を越えたあたりから姿を見せ始めたのは、イブキトリカブトトリカブトの一種ですが、伊吹山で最初に発見されたことからこの名が付いたそうです。

トリカブトの名の由来は、鳥の形の兜に似ているからとか、烏帽子に似ているからとか、諸説があるようです。英語では"Monkshood"。確かに、フードをかぶった修道者の頭に見えますね。

だいぶ高度が上がってきました。なだらかな上り坂が淡々と続いていく登山道は、なかなか疲れるもの。休み、休み進んでゆきます。

山の向こう側から白い雲が現れました。「のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう」という小説『坂の上の雲』の一節を思い起こしました。大学生の頃、夢中になって何回も読んだ本です。

プロペラのような不思議な形のこの花は、高山植物の塩釜菊。これも名前に由来がありそうですが、ちょっとよく分かりません。塩釜というのは、海水を煮て塩を作るための窯のことのようです。

真っ青な青空の下、黙々と山道を登ってゆきます。木が1本もなく、視界が開けているので、とても気持ちよく歩くことができます。大昔、スイス・アルプスの山々をトレッキングしたときのことを思い出しました。

道端に咲いた清楚な白い花は、リュウノウギク。野菊の一種ですが、香りが「竜脳」という香料に似ていることからこの名がついたとか。

山頂が近づいてくると、楽しみにしていたリンドウが姿を見せました。2輪ならんで、とてもかわいらしいですね。

アキノキリンソウの群落が、歩き疲れた登山者たちを励ましてくれます。元気が出る黄色です。

いよいよ山頂が近づいてきました。空気が澄んでいるせいでしょう、吸い込まれそうな深い群青色の空が広がっています。

ようやく山頂に到着しました。登山口からここまで、写真を撮りながらゆっくり登ってきて約4時間。登山の醍醐味を満喫できる距離です。

これも伊吹山の固有種、イブキアザミ。名前を冠した植物がこんなにあるなんて、さすがは関西を代表する名山です。

こちらは、薬草のゲンノショウコ。胃腸に効くのだそうです。今回初めて知ったのですが、伊吹山にはかつて、織田信長の命令でルイス・アルメイダら南蛮の商人たちが作った50ヘクタールにも及ぶ広大な薬草園があったとのこと。アルメイダは、後にイエズス会の司祭になりました。

下山の途中、夕日に美しく輝く琵琶湖が見えました。久しぶりの本格的な登山で、大自然の恵みを満喫することができました。思わず、「神様、ありがとう」と叫びたくなるような気分でした。