祈りの小箱(79)『美しいデッサン』


『美しいデッサン』
 先日、小学校の子どもたちにマザー・テレサの話をしたときのことです。マザー・テレサが、「自分は神様の手の中の鉛筆にすぎない」と言っていたこと。神さまの手に身を任せ、自分の人生という1枚の絵を、神さまの思いのままに描く鉛筆として生きようとしたことをわたしが話すと、1人の女の子が言いました。「神さまが画家なら、間違って線を引い手もだいじょうぶだね。だって、画家は間違って引いた線も消さないし、そのままデッサンの一部にしてしまうって絵の先生が言ってた。」
 その言葉を聞いて、わたしはその子の大人顔負けの洞察力に感嘆しました。その子はもしかすると、先生から習ったことをそのまま言っただけだったのかもしれません。ですが、そこには本当に深い人生の真理が要約されていました。神さまという画家は、わたしたちの間違いからさえよいものを生み出して下さる方なのです。もし神さまの言うことを聞かず、自分勝手に間違った線を引いてしまったとしても、神さまはその線さえ美しいデッサンの一部にしてしまえる方なのです。
 消せない過去の失敗を悔やみ、いつまでも気に病む必要などまったくありません。今からでも神さまの手に身を委ね、神さまの思うままに線を引き始めさえすれば、神さまは必ずわたしたちの人生を美しい1枚の絵に仕上げて下さるでしょう。わたしたちが犯した間違いは、きっとその絵に独自の個性と、深い味わいを与えるだろうと思います。破り捨てて描き直すことができないわたしたちの人生という絵は、描き始めたのなら最後まで仕上げるべきなのです。もし失敗したことをいつまでも気に病んでいれば、人生という絵を、描きかけたまま途中で放り投げてしまうのと同じです。画家である神さまは、失敗することよりも、絵をあきらめてしまうことを悲しまれるに違いありません。腕のいい画家である神さまに信頼して、人生の絵を最後まで描き続けましょう。
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