祈りの小箱(110)『傷を癒していただきましょう』


『傷を癒していただきましょう』
 誰かにひどいことを言われたり、信頼していた友達から裏切られたり、会社で容赦なく叱責されたりしたときなど、わたしたちの心には怒りや憎しみが湧き上がってきます。そんなとき、怒りや憎しみを無理に抑えつけようとしていないでしょうか。怒ってはいけない、憎んではいけないと自分を厳しく律し、そのような感情を抑えつけてしまうと、かえって心の傷がひどくなることがあります。怒りや憎しみは、心が受けた傷から湧き出す、膿のようなものだからです。
 膿は汚らしく感じられますが、傷口が治っていく過程でどうしても出てくるものです。膿を無理に止めれば、傷口が化膿してますます傷はひどくなってしまうかもしれません。怒りや憎しみにも似たようなところがあると思います。心が受けた傷を癒そうとするとき、相手に対する怒りや憎しみが湧き上がってくるのです。相手の悪意という細菌から、自分を守ろうとしているのかもしれません。ですから、もし無理に止めれば、心の傷口は化膿してますますひどくなってしまうかもしれないのです。
 そんなとき、怒りや憎しみを、心をゆるせる誰かに打ち明けるというのも一つの方法でしょう。親友はそのためにいると言ってもいいかもしれません。ですが、あまり長時間にわたって親友をつきあわせても気の毒ですし、親友には傷口を癒す力まではありません。一番いいのは、祈りの中で神様に怒りや憎しみを素直に打ち明けることです。「怒りや憎しみは悪いことだから」と思って隠す必要はまったくありません。神様は、わたしたちの愚痴にいつまでも付き合って下さる方です。膿が出尽くしたところで、神様はわたしたちの心の傷口に触れ、愛の温もりの中でその傷を癒してくださいます。傷口がすっかりふさがってしまえば、もう大丈夫。怒りや憎しみは二度と湧いてくることがないでしょう。ふさがったと思った傷口が、また開き、つい悪口が出てしまうということもあるかもしれませんが、心配する必要はありません。そのたびごとに神様に打ち明け、癒していただけばいいのです。一番よくないのは、無理に抑えつけること。神様を信頼して、すべてを打ち明けたいと思います。
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