祈りの小箱(131)『真理を実現するために』


『真理を実現するために』
 誰かから馬鹿にされたり、面と向かって悪口を言われたりすると、わたしたちはついかっとなって反論してしまいがちです。何とかして自分のプライドを保ち、周りの人々から侮られまいとするのです。ですが、そのためにますます周りの人たちから侮られる結果に終わることがほとんどです。「なんだと、お前の方が悪いんだ」というように、むきになって相手に言いかえする人を見て、「この人は立派な人だ」と思う人など誰もいないからです。そんな姿を見れば、ほとんどの人が「やはり、悪口を言われるだけのことはあるな」「こんなにむきになるとは、よほど痛い所を突かれたのだろう」と考え、その人を見下すようになるのです。
 では、どうしたらいいのでしょう。一つは、沈黙を保つことだと思います。もし相手の指摘が明らかに間違っているのならば、そのことはあえて反論しなくても周りの人に伝わります。落ち着き払って相手の言うことに耳を傾け、あえて反論しないその態度そのものが、相手に対する十分な反論になると言ってもいいでしょう。もう一つの対処の仕方は、相手の言うことを冷静に受け止め、自分を守るためではなく、正義を守り、真理を実現するために反論することです。自分のプライドを守ろうという動機から発せられたことが明らかな、感情的な反論ではなく、誤解や不正を防ぐためにその場でどうしても言っておく必要があることだけを、冷静に反論するのです。自分を守るためではなく、職場や教会に正義と真理を実現するために発せられた静かな言葉は、その人が正しい人であることを証し、その人の名誉を守ることでしょう。
 十字架上のイエス・キリストの態度に、その最高の模範があります。十字架上のイエスは、どんなに侮辱されてもかっとなって言い返すことがありませんでした。むしろ、ほとんどの言葉に対して沈黙を守り、神の御旨を思い出させる最小限の言葉だけを発することで、自分の正しさを証したのです。誰かから侮辱されて腹が立ち、言い返したくなったなら、十字架上のイエスの姿を思い出しましょう。そして、守るべき沈黙を守り、必要な言葉だけを語りましょう。
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