祈りの小箱(136)『動き出すのを待ちましょう』


『動き出すのを待ちましょう』
 先日、いくつかの仕事を同時にしようとしていたらパソコンが急に止まってしまいました。どんなにキーを叩いても何の反応もありませんでしたが、「問題を修復しています」というような表示が出ていたので、それを信じて辛抱強く待つことにしました。他の仕事をして1時間後に戻ってくると、パソコンは止まったままです。夕食を終えて「どうかなぁ、壊れてなければいいんだけれど」と思いながらパソコンに向かうと、なんとパソコンは元通り動くようになっているではありませんか。止まったように見えたパソコンは、わたしが無理にしようとした作業で発生した問題を、何時間もかけて一生懸命に解決してくれていたのです。止まっているように見えたパソコンの中では、実は問題を解決するために無数の計算が行われていたのです。
 人間にも、似たようなことがあるかもしれません。勉強にも部活にもあまりやる気を見せず、閉じこもりがちの子ども。定職につかず、いつまでもぶらぶらしているように見える青年。大きなショックから立ち直れず、人前に姿を見せなくなった人。そのような人たちは、外から見ると何もせず、止まっているように見えるかもしれません。ですが、パソコンの場合と同じように、その人の中では、自分がいま抱えている問題を解決するために懸命の葛藤が行われているのかもしれないのです。そして、その問題は、もしかするとわたしたちが、あるいは社会全体が彼に課したさまざまな課題が起こした問題かもしれません。
 大切なのは、あせらずに待つことでしょう。止まっているように見えるからと言って、修復作業中のパソコンのスイッチを切ったりすれば、問題はさらに複雑になってしまうかもしれません。止まっているように見える人を無理に動かそうとすれば、その人が抱えている問題はもっと複雑になってしまうでしょう。必ずいつか動き出す。そのことを信じて、ただひたすら待つことが必要な場合もあるようです。
★このカードは、こちらからダウンロードできます。⇒
JPEG 『動き出すのを待ちましょう』.JPG 直
PDF 『動き出すのを待ちましょう』.PDF 直