『間違いと決めつける前に』
自分のやり方と違うやり方をする相手と出会ったとき、わたしたちはつい「あの人は間違っている」と決めつけてしまいがちです。自分がこれまでやってきたやり方が一番正しいと思い込み、それと違うやり方をする人は間違っていると考えてしまうのです。ですが、そんなことが言えるのでしょう。自分のやり方が絶対に正しいという根拠がどこにあるのでしょう。自分と違ったやり方をするということは、「間違っている」ということとイコールなのでしょうか。
わたしたちは、それぞれ自分の置かれた環境の中で生きていくために一番よいやり方を選んで自分の習慣にしてゆきます。自分がこれまでやってきたやり方は、これまで自分が置かれた環境の中で生きていくためには一番よいやり方だったかもしれません。ですが、他の環境の中で生きてきた相手には、それぞれが置かれた環境の中で一番よいやり方があることも認めるべきでしょう。環境が違えば、その中で生きていくために一番よいやり方が違ってくるのも当然だからです。
ですから、「あの人は間違っている」と決めつけたくなったら、まず自分自身に「わたしは、あの人について一体何を知っているのだろうか」と問いかけるようにしたらいいと思います。相手がこれまで生きてきた環境をよく知れば、相手がそのようなやり方をするのも当然と思えるかもしれないからです。相手を知らないままに自分のやり方こそ絶対に正しいと思い込み、「あの人は間違っている」と決めつけるのはまったく根拠のないことで、それこそ間違いと言っていいでしょう。何もしらないまま相手を間違いと決めつける間違いに陥らないため、まず相手の置かれた状況をよく知るよう心がけたいと思います。
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