祈りの小箱(142)『「違い」と「間違い」』


『「違い」と「間違い」』
 同じ仕事をしていても、新しい環境の中で働き始めると、これまでと違うやり方に出会って戸惑うことがたびたびあります。これまで自分が馴染んできたやり方とあまりに違う場合には、「本当にこれでいいのだろうか」という疑いさえ生まれてきます。自分が馴染んできたやり方を絶対化して、「このやり方は間違っているのではないか」と思ってしまうのです。「合理的ではない」とか「非効率的だ」とか、そんな風に思えることさえあります。
 ですが、自分が新しい環境に馴染むにつれ、その環境についてよく知るにつれて、最初は違和感を感じたやり方が、その環境の中では実は最も合理的だと気づかされることが多いようです。無駄と思えるくらい複雑に入り組んだやり方は、実は、複雑に入り組んだその地の利害を調整するために一番バランスのとれたやり方だった。馬鹿げていると思えた習慣が、実は、共同体を守るために大きな意味を持っていた。そう気づかされるのです。
 置かれている環境が変われば、一番いいやり方も変わってくるのが当然です。やり方が変わったということは、相手が間違っているということではなく、単に自分がこれまでと違った環境に来たということを意味しているにすぎないのです。始めから間違っていると決めつけず、そのやり方を生んだ環境に目を向けること、相手のやり方に学ぶことが大切だと思います。自分がこれまでにやってきたやり方のよさと、相手のやり方のよさを結び合わせれば、もっといいやり方を生み出すことさえできるかもしれません。自分のやり方、考え方を絶対化しないように、自分を神にしないように十分注意したいと思います。
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