祈りの小箱(147)『一人になることによって』

『一人になることによって』
 たくさんの人と一緒にいても、「自分は一人ぼっちだ」と感じることがあります。みんなが自分を無視して話しているように思えたとき、自分が入り込めない世界を作っているように思えたときなどです。「この人たちは自分のことしか考えていない。この人たちはわたしを愛していない」と感じるとき、わたしたちは孤独の痛みを感じるのでしょう。それとは逆に、一人ぼっちでも、「自分は一人ではない」と感じることがあります。それは、祈っているときです。一人ぼっちの静寂の中で、自分は神様から、人々から確かに愛されている。神様と、たくさんの人々と、確かな絆で結ばれていると実感するとき、わたしたちは孤独の痛みから解放されるのです。
 祈りとは、人間を越えた大いなるものの愛、神様の愛と確かに結ばれていることを実感するために、あえて一人になるための時間だと言っていいでしょう。どんなにたくさんの人と一緒にいても、それだけで孤独が消えることはありません。あえて一人ぼっちになり、自分自身の心の奥深くに目を向け、自分を取り囲むこの世界に向かって感覚を研ぎ澄ますとき、わたしたちは人間を越えた大いなるものの存在を確かに感じ取り、孤独から解放されるのです。
 孤独を恐れておしゃべりやメールにふけり、テレビやゲームで気をまぎらしている限り、孤独はどこまでも追いかけてきます。おしゃべりやメールをやめたとたん、テレビやゲームのスイッチを切ったとたん、孤独が襲いかかってくるのです。孤独を打ち破るには、自分が愛されている存在であること、どんなときでも神様と確かな絆で結ばれていることを実感する必要があります。そして、そのためには一人になることが必要なのです。一人になることを恐れてはいけません。孤独からの出口は、そこにしかないのです。勇気を持って祈り、孤独に打ち勝ちましょう。
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