祈りの小箱(152)『誠実に生きようとする限り』


『誠実に生きようとする限り』
 より真実で美しく、善である生き方を目指して生きようとするとき、わたしたちは必ず苦しみに直面します。どんなに真実であろうとしても、つい誘惑に負けて間違いを犯してしまう自分。美しく生きようとしても、醜い欲望に引きずられてしまう自分。善であろうとしても、自己中心的になって悪を行ってしまう自分に直面せざるを得ないからです。人間の心の奥底には、真実で美しいもの、善であるものへの限りない憧れがありますが、その憧れを追い求める限り、わたしたちは憧れに近づこうとしても近づけない自分の限界に直面せざるをえないのです。
 憧れを捨て、現実に妥協することがもしできるなら、その種の苦しみはきっとなくなるでしょう。しかし、それは不可能なことです。その憧れは、わたしたちが人間である限り、人間として生きようとする限り、必ず生まれてくるものだからです。その憧れは、すべての人間の魂の奥底にしっかりと刻み込まれ、決して消すことができないものなのです。無理に消そうとすれば、かえってわたしたちの苦しみは大きくなり、魂そのものが崩壊してしまいかねません。
 人間として誠実に生きようとする限り、わたしたちは苦しみ続けざるをえません。しかし、その苦しみは、本当の自分になるための生みの苦しみなのです。本当の自分になるために、魂の根源的な憧れに向かって成長し続けるために、この苦しみを乗り越えてゆきましょう。この道をゆくわたしたちのそばには、いつもイエス・キリストがいて下さいます。
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