祈りの小箱(154)『温もりのメッセージ』


『温もりのメッセージ』
 教会などで行われる大きな講演会に参加していて、ある種の虚しさを感じることがあります。立派な神父様やシスターからどんなにすばらしい話を聞いても、その話を覚えているのはせいぜい3日か4日で、1週間もすると話の内容を忘れてしまうのです。こまめにノートをとるようにはしていますが、そのノートをさえそのうち書類の山の中に消えて行ってしまいます。
 ですが、そのような講演会が無駄だとは決して思いません。壇上に立った神父様やシスターの話しぶりや表情、話を聞いているときに感じた心の温もりは何度でもはっきりと思い出すことができます。そして、その温もりがわたしを励ます日々の糧になっていくのです。「聞いてくれている人たちに、ほんのわずかでも役に立てば」「神様から与えられた恵みを、残さず分かち合わずにはいらなれない」。話をしている方たちが話に込めたそのような思い、話している方たちの愛が、わたしたちの心にしっかりと刻み付けられたということかもしれません。話の内容は忘れてしまっても、話を聞いているあいだに受け取った愛だけは、いつまでもわたしたちの心に残り続けるのです。
 立場が変わって、幼稚園や教会学校などで子どもたちに話しをするとき、わたしはこのことを思い出します。わたしが話している内容を子どもたちは、きっと忘れてしまうだろう。でも、わたしがこの話にたっぷり愛を込めるなら、その愛だけは子どもたちの心に残るに違いない。そう思って話すようにしているのです。話している内容は忘れてしまっても、その話にこめられた愛だけはいつまでも残り続ける。そのことを信じたいと思います。
★このカードは、こちらからダウンロードできます。⇒
JPEG 『温もりのメッセージ』.JPG 直
PDF 『温もりのメッセージ』.PDF 直