祈りの小箱(162)『心と心は響きあう』


『心と心は響きあう』
 喜びに満ちあふれ、にこにこしている人のそばにいると、どういう訳か自分までうれしくなってくる。不安にかられ、いらいらしている人のそばにいると、どうしてもこちらまで気持ちが重くなってくる。そんな経験をすることがあります。善かれ悪しかれ、人間の心のあり様は、近くの人に伝染していくようです。その人の心の中にある喜びや悲しみの響きが、周りの人に共振すると言ってもいいかもしれません。
 その人の性格も、一種の響きと言ってもいいでしょう。さまざまなことに不満を抱き、憎しみやいらだちに囚われて生きている人の心からは、いつも乱れた不協和音が鳴り響いているようです。そのような人の周りには、いつも暗い雰囲気がただよっていて、近づいた人まで気持ちが重くなります。逆に、すべてのことに満足し、感謝と喜びに満たされて生きている人は、すべてのメロディーが調和したすばらしい旋律をいつも響いているようです。そんな人のそばにいると、乱れていた自分の心もきれいに整えられていくような気がするものです。
 人間だけに限りません。芸術作品と出会って心がすっと整えられるのも、その芸術作品の中に、何か調和した旋律が響いているからなのかもしれません。作った人の心の響きが、その作品にも伝わったのでしょう。道端で咲いている小さな花や、公園の木々を眺めているとき心が静かに整えられていくのは、きっと花や木々の中に調和した旋律が奏でられているからでしょう。自然を創りだした神様の響きが、花や木々に伝わっているのだろうと思います。神様によって創られた人間の心にも、本来、調和した旋律が鳴り響いているはずです。神様が創りだす美しい心の旋律を、傲慢や利己心によってかき乱すことがないように、いつもしっかり調律していたいと思います。
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