祈りの小箱(170)『揺らぐことのない自信』


『揺らぐことのない自信』
 「自分に自信を持ちましょう」と言うと、「いえ、神父様、わたしは自分に自信なんかありません」という反応が返ってくることがあります。「なぜですか」と尋ねると、「わたしはあれもできないし、これもダメだし、人に誇れるようなことは何もないのです」と言います。どうやら、自分に自信を持つということを、人と比較して自分に優れたところがあるという意味にとっているようなのです。「競争社会」と呼ばれる現代社会に育ち、日々、競争の中で生きているわたしたちにとっては、むしろそれが当たり前の反応なのかもしれません。
 ですが、本当の意味で自分に自信があるというのは、人と自分を比較して自分を誇るということではないとわたしは思います。人との比較でしか自分に自信を持てない人は、とても不幸です。なぜなら、絶えず人を気にして、自分が人より優れていること、人が自分より劣っていることを確認しなければ安心することができないからです。そのような人は、絶えず自慢話をしたり、人の悪口を言ったりしなければ落ち着くことができません。人との比較でしか自分に自信を持てない人は、そうしなければ自分に自信が持てない人。つまり、本当の意味で自分に自信がない人なのではないかという気さえします。
 本当の意味で自分に自信を持つとは、人と比較しなくても、自分が自分であることに自信を持つということでしょう。自分自身との関係で、自分の生き方に納得している人。「人がどう思おうと、自分は精一杯に生きている。このような生き方にも必ず意味がある」と考えて、自分に誇りを持てる人こそ、本当の意味で自分に自信がある人なのです。信仰がある人であれば、「こんな自分でも、神様が愛してくださっている」「わたしは、神様から与えられた使命に全力を尽くしている」ということに自信の根拠を置くこともできるでしょう。いずれにしても、他人と比較しないでも自分に自信を持てる人。自分を誇れる人こそが、本当の意味で自分に自信のある人なのです。
 自分自身や神様との関係で自分の生き方に納得している人の自信は、何があっても決して揺らぐことがありません。周りがどう変化しようと、自分はいつまでも同じ自分だし、神様はいつまでも同じ神様だからです。自分が自分であることに自信を持って生きられるよう、自分自身との関係、そして神様との関係をより深いものにしていきたいと思います。
★このカードは、こちらからダウンロードできます。⇒
JPEG 175『揺らぐことのない自信』.JPG 直
PDF 175『揺らぐことのない自信』.PDF 直