祈りの小箱(202)『愛さずにいられない』


愛さずにいられない
 被災地などでのボランティア活動に参加する人の中には、「よし、イエスの教えに従って困っている人たちを愛するぞ。愛さなければならないんだ」と考えてやって来る人がいます。ですがボランティア活動の厳しい現実に直面すると、そんな人に限って、「なぜ、こんな人たちを愛さなければならないんだろう」と悩み始めるものです。そもそも、「愛さなければならない」という考え方そのものに問題があるようです。イエスの愛の教えを頭だけで理解し、義務的に誰かを助けるのは、本当の愛ではないのです。
 では、本当の愛とはなんでしょう。それは、相手に関心を持ち、相手の苦しみに気づいて、相手のために何かせずにいられなくなることです。愛とは、心の奥底から湧き上がり、わたしたちの頭と体を勝手に動かしてしまう力なのです。「愛さなければならない」と考えてではなく、「愛さずにいられない」と感じて相手のために何かをするのが、本当の愛なのです。
 誰かを「愛さなければならない」と思い、そのことに困難を感じたなら、そもそも順番が間違っていると考えた方がいいでしょう。頭で考えた観念的な愛を、実行に移そうとするから難しいのです。まず関心を持って相手をよく知り、相手の苦しみに気付くなら、考えなくても自然に体が動き始めるに違いありません。人間は、苦しんでいる人を見れば、放っておくことができないようにできているのです。その人を、愛さずにいられないようにできているのです。
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