原爆ドームの前で
原爆投下70年の節目を前にして、補修工事を完了した原爆ドーム。この場所に佇んでいると、「熱いよ、神父さん」「痛くてたまらないよ、神父さん」「一人で死ぬのはいやだよ、神父さん」。そんな風にわたしに語りかける、死者たちの声が聞こえてくるような気がします。時間を越え、1945年8月6日のあの時から響いてくるそれらの声にじっと耳を傾けるとき、わたしはただその方々の魂の安息のためにただ祈るしかありません。あの日、数万度の炎に焼かれ、悲惨な姿で死んでいったすべての人々の声なき声に耳を傾けることから、平和を始めてゆきたいと思います。