フォト・ライブラリー(469)カトリック宇部教会・パイプオルガン設置の歩み

カトリック宇部教会・パイプオルガン設置の歩み

カトリック宇部教会のパイプオルガンが、ついに完成。8月16日に祝福式が行われました。完成までの歩みを、写真で振り返ってみたいと思います。

 1月29日、ドイツよりパイプオルガン工房・ボッシュ社の社長ヴェルナー・ボッシュ氏が来日。教会にちょうどいい大きさとデザインのパイプオルガンを作るため、入念な下見を行いました。

 7月24日、パイプオルガンの部品をびっしり詰め込んだ巨大なコンテナが宇部教会に到着。信徒総出で教会に運び入れました。

 聖堂を埋め尽くした部品。いよいよパイプオルガンの組み立てが始まります。

 まずはパイプオルガンの筐体の組み立てから。山口・島根地区の各教会から、パイプオルガンに興味がある子どもたちが見学に来ています。

 少しずつ組み上げられてゆくパイプオルガン。屋根の部分が取り付けられると、今度は電装部品の取り付けです。

 鍵盤からパルプに動力を伝える薄い木の板。パイプオルガンが木工細工と呼ばれる理由が分かります。

 ドイツ・ボッシュ社から派遣されたマイスター、ペーテライトさんが木工用ボンドを使いながら微修正を加えてゆきます。

 ほぼ出来上がったパイプオルガンの筐体。夕日が射しこむ聖堂に、美しく佇んでいます。

 8月3日、いよいよパイプが箱から取り出されました。1本1本がピカピカに輝いています。

 うれしそうにパイプを運ぶパイプオルガン・マイスター、中井郁夫さん。今から40年前、宇部教会の信徒だった中井さんはパイプオルガンの音色に魅了され、パイプオルガン職人になることを目指してドイツに旅立ちました。ドイツ・ボッシュ社で10年の修行を積み、マイスターの国家資格を取得した中井さん。帰国してからは、広島の山奥に工房を構えてパイプオルガン作りに取り組んできました。「いつの日か、自分の出身教会である宇部教会にパイプオルガンを設置したい」、それが中井さんの切なる夢でした。その夢が、ついに実現するときが来たのです。

 パイプを1本1本取り付けてゆく中井さん。金属製パイプと木製パイプ、合せて873本のパイプを並べてゆきます。中井さんは、すべてのパイプの音色を聞き分けられるそうです。

 びっしりと並んだパイプ。先が平たかったり尖っていたり、蓋があったりなかったり、1本1本に個性があります。

 8月10日、パイプの取り付けが終わり、調律が始まりました。ペーテライトさんが音を出し、中井さんが調整してゆきます。

 日本に7人しかいないパイプオルガン・マイスターの1人である中井さん。一つひとつの音をしっかりと味わうように試し弾きをしています。

 中井さんが母教会へのパイプオルガンの設置が実現したのは、信徒のKさんからの寄付があったからでした。オルガンが大好きだった娘さんに先立たれ、天国の娘にパイプオルガンの音色をプレゼントしたいと思い立ったKさんが、宇部教会にパイプオルガン購入のための寄付を申し出て下さったのは昨年のことでした。いつか中井さんの夢をかなえたいと信徒たちも積み立てをしていましたが、この寄付によってパイプオルガン設置が一気に現実味を帯びたのです。中井さんの夢を乗せたパイプオルガンの響きは、天国のKさんの娘さんのもとに確かに届くに違いありません。

 873本のパイプを自在に操る鍵盤。ピアノとは色が逆です。

 1週間に及ぶ入念な調律が終了。山口サビエル記念聖堂の常任オルガニスト、寺岡恵美さんが試し弾きに来られました。パイプオルガンの荘厳な響きが、聖堂全体を恵みで満たしてゆきます。

 8月15日夕方、すべての作業が終わって引き渡しが行われました。鍵盤部分の蓋の鍵の引き渡しです。

 最初の演奏は、「ふっこうのかけ橋」で宇部に来ていた福島の子どもたちに捧げられました。パイプオルガンの音色に力づけられ、これから宇部教会のミサはますます恵みで満たされるに違いありません。お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
★10月4日14時より、パイプオルガンの奉献記念コンサートが行われます。演奏は寺岡恵美さんです。チラシのダウンロードはこちら⇒パイプオルガンコンサート.pdf 直