フォト・ライブラリー(515)長崎・外海巡礼

長崎・外海巡礼

講演会で長崎に行ったついでに、外海の教会群を巡礼してきました。息をのむほど美しい海と、何百年にもわたる人々の祈りを引き継ぐ長崎の教会。写真でお楽しみください。

まず訪れたのはカトリック黒崎教会。遠藤周作の小説『沈黙』に登場する「トモギ」は、この辺りをモデルにしているそうです。

祈りの雰囲気がたちこめる、黒崎教会の聖堂。吉永小百合主演の映画『母と暮らせば』に登場した教会です。

最近では、長崎の観光キャンペーンでキスマイが来たことで有名。キスマイのファンの「聖地」になっているそうです。

ステンドグラスから射し込む暖かな光を浴びながら、しばらくお祈りさせていただきました。

海沿い建てられた遠藤周作記念館からの眺め。展示もすばらしかったのですが、景色の方に思わず目が行ってしまいました。

「人間がこんなにも哀しいのに、主よ、海がこんなにも碧いのです」と、遠藤が「沈黙の碑」に記した外海の景色。この日は特に晴れていて、五島列島がはっきり見えました。長崎を追われたキリシタンたちは、この辺りから舟で五島に渡ったそうです。

世界遺産の候補になっている、カトリック出津教会。パリ・ミッション会の宣教師、ド・ロ神父が建てたものです。屋根が低いのは、風雨を避けるためとのこと。国の重要文化財に指定されています。

出津教会の周辺は、段々畑が続いています。昔は、斜面のほとんどが畑だったそうです。

急な斜面の上に、ちょこんと建てられたカトリック大野教会。こちらも、ド・ロ神父が設計したとのこと。世界遺産の候補になっています。

教会の屋根瓦には、赤い十字架が記されています。当時の教会ではよく見られるそうです。

素朴な造りの聖堂内部。現在は、年に1度の記念ミサで使用されるくらいだそうです。険しい坂の上にあるので、ここまで来るだけでも大変でしょう。

玄武岩のかけらを漆喰で固めた独特の壁。ド・ロ壁と呼ばれているそうです。

フランス貴族の出身であるド・ロ神父が、女性の自立支援のために私財を投て作った出津救助院。日本で初めてマカロニが作られた場所とされています。

うっそうとした森の中に建つ、枯松神社。伝説の伝道師バスチャンの師であった、サンジワンを祀っています。神社にキリシタンが祀られているというところが興味深いです。

ところどころに置かれた大きな石は、潜伏キリシタンたちの墓だと言われています。

墓の上に置かれた白い石。お祈りをするときだけ十字の形に組み、終わったら発見されないようにばらばらにしたとのことです。

森の中の大岩。陰に数人が入れるくらいの大きさです。かつて、潜伏キリシタンたちがここに集まって祈りを捧げたと言われています。

外海巡礼を終えて、西坂の二十六聖人記念館にやって来ました。豊臣秀吉の命によって処刑された6人の外国人宣教師と、20人の日本人キリシタンたちを記念しています。

記念館の隣に建てられた聖堂。記念館と同じく、建築家・今井兼次氏の設計によるもので、バルセロナのサクラダ・ファミリア教会を模しているとのことです。

小高い丘の上に建つ、カトリック浦上教会。長崎教区のカテドラルで、日本でも最大規模の教会です。

原爆によって一度は破壊されましたが、戦後、信徒たちの手によって再建されました。この日は、隣にあるカトリックセンターで講演させていただきました。

浦上四番崩れで、配流の地に出発するキリシタンたちのレリーフ。今年でちょうど150年になります。

原爆によって破壊された聖人たちの像。聖堂の中には、被爆したマリア像もあります。

青空に向かってそびえたつ信仰の碑。わずか2日間でしたが、長崎の地に受け継がれるキリスト教信仰の重みに触れた旅でした。殉教者たちの蒔いた種が、いま確かに豊かな実りを結んでいます。