やぎぃの日記(82)ヤッホー会、新緑の六甲山へⅡ


 昼食後、わたしたちは穂高湖畔から徳川道に入った。江戸時代の末期、参勤交代の侍たちが神戸の街を通って外国人たちとトラブルを起こさないように、迂回道として作られた道だ。出来上がったころに幕府が崩壊したので、結局本来の目的のためにはほとんど使われずに終わり、今はこうしてハイカーたちがのんびり行き来している。杣谷道と同じく、渓流沿いにせせらぎの音を聞きながら進んでいく道だ。
 途中、あちこちにミツバツツジやヤマブキ、野生のフジの花などが咲いていた。六甲山はかつて港に入る船の燃料となる薪の伐採のためはげ山だったと聞いているが、緑を復活させるとき、神戸の人たちがこのように美しい花を咲かせる木々を全山に植えたのだろう。鮮やかな新緑、咲き乱れる花々、すがすがしいせせらぎの音、鳥たちの愛らしい鳴き声、それらの中を歩いていると心が洗われるようで、まるで天国に迷い込んでしまったのではないかという錯覚さえ覚えた。5月は、わたしたちの住むこの世界が一番天国に近づく月なのかもしれない。この月がマリア様に捧げられているのはもっともなことだと思う。
 途中、渓流のほとりで休憩して靴を脱ぎ、山歩きでほてった足を冷たい水にひたした。岩場で休みながら、みな思い思いにこの恵みのひと時を味わっているようだった。このままずっと美しい自然の中で休みたいとも思ったが、そういうわけにもいかない。休憩で取り戻した力で、わたしたちは最後の目的地、森林植物園へ向かった。もう30分ほどの道のりだ。
 森林植物園を散策し、名物のソフトクリームを食べた後、わたしたちはバスで三宮まで戻って解散した。そのあと、「有志」はピア・ホールでさらに懇親を深めた。個人的なことでいえば、5月5日はわたしの38歳最後の日だった。これ以上ないくらいすばらしい1年の締めくくりだったと思う。参加者のみなさん、本当にありがとうございました。
※写真の解説…六甲山、杣谷道にて。