フォト・エッセイ(66) 海遊館


 今週は木曜日に仕事があったので、今日お休みをもらって大阪の海遊館に行ってきた。教会の若者たちも一緒だった。いつもとは違った環境で若者たちと関わることには意味があると思うし、わたしが休みの日ごとに体験している感動を彼らとも分かち合いたいという気持ちもあるので、ときどき休みの日の写真撮影に若者たちを誘うことにしている。平日でも、就いている仕事の種類によっては参加できる若者がけっこういるものだ。今日は、5人の若者が一緒に来てくれた。
 今日わたしが一番感動したのは、魚たちのゆったりとした動きだった。アマゾン水槽で、名前は知らないが丸い形の大きな魚がゆったりと泳いでいるのを見て、しばらくその動きに見とれてしまった。何がわたしをそれほど惹きつけたのかそのときは分からなかったのだが、魚たちの動きの中にわたしの心にとても強く訴えかけてくる何かがあったことは間違いない。
 しばらく先に進んだところで、今度はジンベエザメの動きに引き込まれてしまった。巨大な体をゆっくりと動かして水槽の中をゆうゆうと泳いでいくジンベエザメの姿をじっと見ていた時に、ふと「ああ、そうか」と思い当った。水の中をゆったりと進んでいく彼らのんびりした動きそのものが、わたしを惹きつけたのだ。近頃、わたしはクリスマス行事やさまざまな仕事に追われて忙しくしている。魚たちの動きは「何もあわてることはない。ただゆったりと泳いで行けばいいのだよ」と語りかけ、疲れたわたしの心をぎゅっとつかんだのだ。
 いろいろなことを考えて忙しく動き回るのが必要な時もあるが、ジンベエザメのようにゆったり構えてのんびり動くほうがいいこともある。魚たちのゆったりとしたペースは、聖霊の中をたゆたう祈りのペースにも似ている。人間的な思いに駆り立てられて忙しく動くのではなく、祈りのペースを忘れずにゆったりと行動したいものだ。ジンベエザメを見ながら、そんなことを考えていた。
 海遊館自体は2時間あまりで見終わってしまったので、あとは食事をしたりお茶を飲んだりしながら若者たちと話して時間を過ごした。ゆったりとした時間の流れの中でしか話せないことは、意外とたくさんあるようだ。教会の将来のこと、信仰のことなども交えながら楽しく話しているうちに、あっという間に夕方になってしまった。







※写真の解説…1枚目、サンタクロースの服を着て魚に餌をやっている潜水夫を見つめる少女。2枚目、3枚目、海遊館名物のジンベイザメ。4枚目、海遊館の前に飾られたマンタのイルミネーション。