やぎぃの日記(101)福島はいま2〜仮設住宅


福島はいま2〜仮設住宅
 23日の昼過ぎにJR二本松駅に到着するとすぐ、車で出迎えてくれたカトリック二本松教会の信徒会長、柳沼さんが教会の近くにある郭内公園仮設住宅に案内してくれた。8月15日に教会でバザーをしたときにたくさんの避難者の方たちが来てくださり、その御縁で顔なじみが多いとのことだった。
 現在、二本松市内には11箇所、1069戸の仮設住宅が設置されており、原発から20キロ圏内にある浪江町から避難してきた方々が暮らしている。市内の男女共生センターには浪江町役場が避難してきており、二本松市の中に浪江町が重なって存在しているというイメージだ。わたしたちが訪れた郭内公園には約100戸の仮設住宅が設置されていた。7月から入居が始まり、もうすでに満室に近い状況だと言う。
 プレハブの仮設住宅がびっしりと建ち並ぶ敷地に入り、とりあえず人の声がする方に行ってみた。あまり人気のない昼間の仮設住宅だが、ところどころで軒先に集まってお茶飲み話をしているお年寄りたちがいるようだった。最初に出会ったのは、60代くらいの男性2人だった。先日のバザーの感想を聞くところから始めて、いろいろな話をうかがった。2人とも声をそろえて訴えていたのは「畑がなかったら何にもすることなんかない。いつ帰れるかもわからないなか、何もすることなく毎日を過ごすのがつらい」ということだった。避難所を5、6箇所転々としてようやく仮設住宅に入って一安心したが、将来のことを考えると不安も募る。政府や東電がどこまで面倒見てくれるのだろうかとも言っておられた。
 2人のうちの1人、吉田さんという男性は、庭で仕事をしているときに原発の方から大きな爆発音がするのを聞いたという。翌日、消防から逃げろと言われたので逃げたが、数日の避難のつもりだったからほとんど何も持ち出せなかった。一度、半日だけ帰宅をゆるされたが、膝に乗るだけの荷物しか持ってくることをゆるされなかったのでほとんどの家財を家に残したままだという。
※写真の解説…郭内仮設住宅にて。