バイブル・エッセイ(249)イエス様の温もり


★このエッセイは、子どもたちと共に捧げるミサでの説教に基づいています。
エス様の温もり
 重い皮膚病を患っている人が、イエスのところに来てひざまずいて願い、「御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。イエスが深く憐れんで、手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち重い皮膚病は去り、その人は清くなった。(マルコ1:40-42)
 重い皮膚病というのは、体が腐ったようになってしまう恐ろしい病気だったので、この時代の人たちがこの病気にかかった人にさわるということはまずありませんでした。ところが、イエス様はこの人にさわります。そんな体になるまでにこの人がどれほど辛い思いをしてきたか、人々から嫌われてどれほどさびしい思いをしているか、そう思ったら手を差し伸べずにいられなくなったのでしょう。この人の病気は、そうやって差し伸べられたイエスの手の温もりと共に癒されました。
 イエス様は、みなさんが苦しんでいるときにも同じように手を差し伸べてさわってくださいます。たとえば、教会学校のリーダーがしてくれるイエス様の話を聞いているうちに、いつの間にかおうちで叱られた嫌な気持ちがすっかり消えて元気になったという体験はないでしょうか。リーダーによじ登ったりしがみついたりして楽しく遊んでいるうちに、お友だちにいやなことを言われた不愉快な気持がすっかり消えて元気になったという体験はないでしょうか。しょげていたはずのみなさんが、いつのまにか元通りすっかり元気になっている。とても不思議なことですね。
 それは、実はみなさんが気付かないあいだに、リーダーの言葉を通して、体の温もりを通して、イエス様がみなさんにさわってくれたからなのです。だから、この病気の人がすっかり元気になったように、みなさんも元気になったのです。リーダーたちだけではありません。おうちでお父さんやお母さん、学校の先生、ご近所の人、みなさんの周りにいるさまざまな人たちを通してイエス様は皆さんにさわってくれます。その人たちの言葉の温もり、手の温もりは、実はイエス様の愛の温もりなのです。みなさんは、イエス様の温もりによって元気になったのです。
 このあと、みなさんはリーダーやお父さんお母さんを通してではなく、イエス様に直接さわってもらうことになります。みなさんがいただく御聖体の中に、イエス様がいらっしゃるからです。御聖体にこめられたイエス様の愛の温もりにふれて、心も体も元気にしていただきましょう。  
※写真の解説…菜の花とミツバチ。神戸市総合運動公園にて。