フォト・エッセイ(101) 阪神間の教会巡り②


 わたしたちの六甲教会は、とても近代的な作りの教会だ。もし鐘楼と十字架がなければ、教会だとは分からないだろう。内部も簡素なデザインで、主聖堂の目立つところには御聖体が安置されていない。緊急の聖体拝領に備えて引っ込んだ場所に安置してあるだけだ。司祭は信徒とほとんど同じ高さに立ってミサを立てる。
 夙川教会は、どこからどう見ても教会という感じがする建物だ。ヨーロッパでよく見かけるような建物で、典型的な教会建築と言っていいだろう。内部もステンドグラスがあちこちに散りばめられ、聖なる雰囲気を醸し出している。「十字架の道行き」のための絵も、大きくてしっかりしている。全体として厳かな感じのする教会だ。
 仁川学院の隣にある仁川教会も、やや簡素な外見だがはっきり教会と分かる建物だ。主聖堂の中央、祭壇の背後に大きなステンドグラスがはめ込んであり、そこから赤や青の美しい光が差し込んでいる。神父さんも、伝統的なフランシスコ会の修道服を着ておられた。明るくて、居心地のいい教会だと思った。
 今回一番驚いたのが宝塚教会だ。遠くから十字架が見えたときは普通の教会かなと思ったのだが、近づいてびっくりした。これは果たして教会なのだろうか。そもそも、建築物としてこのような形の建築物を見たことがない。説明を聞くと、クジラをモチーフにした形なのだそうだ。ヨナ書のイメージだろうか。内部も、クジラの胃の中を思わせるような作りだった。教会が造られたときに一緒に造られたという椅子がびっしり並んでいる様子が印象的だった。
 池田教会は、きちんと教会の形をした建物だった。内部の作りは簡素だが、外観ははっきりと教会らしい特徴を持っている。聖堂の側面にに大きな窓があり、庭が見えるようになっているのが印象的だった。アメリカ人の神父さんが丁寧に教会の由来などを説明してくださった。教会のすぐ近くにインスタントラーメン記念館があり、そこにも神父さんが案内してくださった。
 豊中教会は、一風変わった建築様式の教会だ。中国から移ってきた宣教師が設計したため、外観は中国風なのだという。内部は、わたしが見た限りとても和風の造りだった。広島にあるイエズス会の黙想の家の聖堂がちょうど同じような作りになっている。祭壇の背後に飾られたマリア様の絵がとても印象的だった。幼子イエスを抱いた聖母マリアが中央に描かれ、両側に聖テレジアと聖カタリナが描かれている。
 最後に訪れた園田教会は、簡素だがとても教会らしい外観の教会だった。内部のステンドグラスがとても美しい。祭壇の背後に十字架が飾られ、その両側に大きなイエスとマリアのステンドグラスがはめ込まれている。両側の壁にも、青を基調として四季折々の花をあしらったステンドグラスが何枚も一列にはめ込まれている。聖堂全体が聖なる光に包まれているような印象を受けた。
 現代は、教会の形はこうあるべきだというモデルがない時代なのかもしれない。今回は建物を見ただけだったが、建物がこれだけ違えばきっと典礼にも影響があるだろうと思う。教会における司祭と信徒の役割分担のあり方にさえ影響があるかもしれない。最初は子どもたちに色々な教会を見せようという軽い気持ちで参加した教会巡りだったが、わたし自身も改めて教会とはなんなのかについて考えるいいきっかけになった。
















※写真の解説…1枚目、宝塚教会の聖堂。2枚目、宝塚教会外観。3枚目、池田教会で神父様のお話しを聞く子どもたち。4枚目、豊中教会の外観。5枚目、豊中教会の聖堂。6枚目、園田教会の聖堂。7枚目、おやつに食べたお団子。