祈りの集いは、始め聖堂の向い側にあるホールで始まった。聖堂を祈りだけの場にするために、歌の練習やテゼの活動の紹介などは別の場所で行うことにしたのだ。ホールいっぱいに席を並べたのだが、あまりの人の多さに開始の直前に席がなくなり、立ち見の人たちが出てしまった。わたし自身は聖堂のキャンドルの準備などのためほとんどホールにいられなかったのだが、外から覗いた限りではみな熱心にギランさんの話を聞いているようだった。
ようやく聖堂の準備が終わり、聖堂で待っていると、歌の練習などを終えた人々が聖堂に移動してきた。いよいよ祈りの集いの本番だ。集いは、おなじみのテゼの歌の繰り返しから始まった。祈りが始まるともうギランさんからのアナウンスはほとんどなく、歌と静寂だけが聖堂を支配していった。
何曲か歌って参加者たちの息が合ってくると、200人の歌声は小刻みに聖堂を揺さぶるほどの力強い響きに変わっていった。建物や体だけでなく、魂さえも奥深いところから揺さぶられるような歌声だった。今ここで教派の違いを越えてキリストの弟子たちが一堂に会し、この歌声を作り上げているのだと考えると、思わず涙がこみ上げてきた。イエス・キリストを囲んで神を讃える人々の歌声は、「神の国」の到来さえも感じさせてくれた。周りを見まわすと、涙を拭いているのはわたしだけではないようだった。
プログラムが終わりに近づいてくると、「このまま、いつまでもこの集いが続けばいいのに」という気持ちになった。教派を越えてこれだけの数の人々が共に祈るこんな集いが、こんどいつ実現するかまったく分からないからだ。すべての歌が終わった後も、しばらく会場を離れがたい気持ちが残った。
祈りの集いのあと、ホールに戻って教会の交流会を行った。それにも3分の1くらいの人が残って参加してくださった。はじめはみな緊張していたようだったが、すぐにあちこちで話の輪が出来上がり、これまででは考えられなかったような出会いがいくつも生まれたようだった。
思いがけない人数に対応するために、たくさんの信者さんたちのお世話になった。この場を借りて、心から感謝したいと思う。
突然の依頼に快く応じて会の進行に協力してくださった皆様、本当にありがとうございました。
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※写真の解説…祭壇を囲んだ祈りの風景。