JESUS KIDS記事「マザー・テレサは生きている」

このエッセイは、カトリック六甲教会教会学校が毎月発行している小冊子「JESUS KIDS」9月号のために書いたものです。

マザー・テレサは生きている」
 この夏、14年ぶりにインドのカルカッタに行ってきました。14年前というとみなさんの中の誰もまだ生まれていない大昔だと思いますが、そのころわたしはもう24歳で、大学を卒業したところでした。カルカッタに行ったのは、マザー・テレサに会い、彼女の始めた貧しい人たちのための家で働くためでした。
  その頃、マザー・テレサはまだ元気でした。わたしは毎朝マザーの隣でミサに出て、昼間は貧しい人たちのために働き、夕方またマザーの隣でロザリオを祈るという生活を1年間続けました。お祈りが好きだったからというよりは、マザーが大好きで、マザーのそばにいたかったからそうしたのだと思います。マザーというのは英語で「お母さん」という意味ですが、マザーのそばにいると本当にお母さんのそばにいるような温かさや安心、喜びを感じることができました。
 この夏、14年ぶりにカルカッタに行き、マザー・テレサのお墓の前でお祈りしました。マザーは今から12年前に天国へ行きましたから、カルカッタには大きなお墓があるのです。
 お墓の前でひざまずき、目をつぶって祈り始めたとき、とても不思議なことが起こりました。昔、マザーのそばにいたときに感じたのとまったく同じ温かさや、安心、喜びが心の底からどんどん湧きあがってきたのです。マザーは死んでしまったのだと思って悲しんでいたわたしは、もううれしくて仕方がありませんでした。あんまりうれしくて、目から涙がどんどん流れてきました。
 マザー・テレサは、ちゃんと生きていたのです。死んでなどいなかったのです。お母さんが子どもの帰りを待つように、わたしが神父としてカルカッタに帰ってくるのをずっと待っていてくれたのです。白くて大きなマザーのお墓の前で、わたしはマザーの愛に応えられるような立派な神父さんにならなければと心から思いました。
  みなさんも、大きくなっていつか機会があったらぜひインドのカルカッタに行ってみてください。きっと、マザー・テレサはみなさんのことをお母さんのように温かく迎えてくれるはずです。