マニラ日記(48)パラセリスでの結婚式Ⅱ〜結婚式


結婚式
 ナトニンは明らかに村だが、パラセリスはかなり大きな町だ。幹線道路が何本も通り、商店街も何か所かある。町中をしばらく進んでいくと、畑に面したしずかな場所にカトリック教会があった。
 やや遅れて到着したわたしたちの準備が整うと、すぐに結婚式のミサが始まった。主司式はこの教会の主任司祭ペドロ神父、それにここでクリスマス実習をしている第三修練者のカルロス神父とわたしたちナトニンからの2人の司祭が加わって、4人での共同司式となった。
 新郎新婦のためのブースが祭壇の前に用意されていることにまず驚いた。日本では結婚の儀が行われる間だけ新郎新婦が祭壇の前に出るが、ここでは最初から最後まで祭壇の前にいるのだ。2人の結びつきを強調するためだろう、途中で2人の肩に1枚の大きなベールを掛けたり、2人を真珠のチェーンで結んだりする場面もあった。後でカルロス神父に聞くと、きっとスペイン文化の影響だろうとのことだった。母国のエクアドルでも、同じような習慣を見かけるそうだ。その他にも、司祭の説教の前に新郎新婦の祖父母から励ましの言葉があったり、2人で作ったキャンドルが奉納されたり、いろいろな趣向がこらされた式だった。
 ミサに続いて、教会から車で5分ほどのところにある広場で披露宴が行われた。ここでも、お祝いの中心になるのはイーグル・ダンスだった。いろいろなグループがそれぞれに趣向をこらしたイーグル・ダンスを披露したので、祝宴は大いに盛り上がった。ラテンの血が騒いだのか、途中からカルロス神父も交じって見事なダンスを披露し、大喝采を受けていた。
 日本の教会での結婚式は、披露宴の予約時間などの関係もあって簡略に行われることが多い。だが、もう少し何か日本の文化を生かした工夫ができるかもしれないなと、帰りの車の中で考えた。新郎新婦の望みを取り入れながら、一生の思い出になるような式を作りだせればすばらしい。
※写真の解説…結婚式の様子。新郎新婦が真珠のチェーンで結ばれるところ。