マニラ日記(47)パラセリスでの結婚式Ⅰ〜朝ミサの珍事


2010年12月22日(水) パラセリスでの結婚式
朝ミサの珍事
 シンバン・ガビの早朝ミサで、ちょっと驚くことがあった。説教の前に信者さんの代表が分かち合いをしたときのことだ。かつて学校の校長先生だったという老人が、分かち合いの当番になっていた。ふだんわたしと話すときは訥々とした英語で話すこの老人が、なんと分かち合いを始めるやいなやアメリカ大統領顔負けの流暢な英語で大演説を始めたのだ。このときとばかりに準備したのかもしれないが、それにしても驚くべき英語力だ。30分あまりを滔々と語り切って満足そうな顔をしていた。ナトニンの人たちはみな英語を話せることを誇りにしているが、まさかこれほどとは思わなかった。
 2人目の信者さんも刺激されたのか20分ほど話したので、結局、わたしの説教の時間は5分くらいになった。立派な分かち合いだったので、信者さんたちもみな感心して聞き入っていたからよかったが、お蔭で今朝のミサは2時間近くかかってしまった。
パラセリスへ
 早朝ミサの後、パブロ神父さんたちと一緒に隣町のパラセリスまで行ってきた。パブロ神父さんの知り合いの結婚式で、共同司式をするためだ。本来わたしが行く理由はなかったのだが、せっかくだから色々な体験をしたかったのでわたしの方から共同司式を願い出ることにした。
 パラセリスは、ナトニンから山道を2時間ほど下って行ったところにある。この街道で一番の悪路といわれるすさまじい道をジープに揺られながら20キロほど行くと、山が開けて穏やかな農村風景が目の前に広がり始めた。ナトニンを出るときは小雨交じりの曇り空で肌寒い陽気だったのに、こちらはすっきりと青空が広がって暑いくらいだった。パブロ神父さんの説明では、この地域はナトニンと逆で雨があまり降らず、水不足が問題になっているくらいだそうだ。そのせいか山肌には棚田が一つもなく、乾いた山の斜面にトウモロコシやバナナの木がびっしりと植えられていた。わずか20キロあまりの距離で、これだけ気候や作物が変わってしまうというのは驚くべことだ。
※写真の解説…ナトニンからパラセリスに向かう山道にて。すれ違ったジープニーは、屋根の上まで人を満載していた。