祈りの小箱(193)『雄弁な沈黙』


『雄弁な沈黙』
 「神様、なぜわたしがこんな目に会わなければならないのですか。」ひどい苦しみの中で神様にそう問いかけても、神様は答えようとしません。神様は、なぜ黙ったまま、何も語りかけてくれないのでしょうか。神様の沈黙には、どんな意味があるのでしょう。
 こう考えてはどうかと思います。友だちが、絶望に打ちひしがれ、涙にくれているときわたしたちはどうするでしょう。かける言葉も見つからないまま、ただその友だちの側に寄り添い続けるしかない。そんなこともあるでしょう。ですがその沈黙には、どんな慰めや励ましの言葉よりも誠実な、愛のメッセージが込められています。「大丈夫だよ。がんばれよ」「気持ちは分かるけど、いつまでも悲しんでても仕方がないよ」などと声をかけるより、ただ沈黙のままより添い続けることの方が、はるかに雄弁に愛を伝えるのです。そんなときには、沈黙こそが最も雄弁な言葉なのです。
 わたしたちがひどい苦しみの中でうちひしがれているとき、神様が何も声をかけてくれないとすれば、それはかける言葉が見つからないからでしょう。ですが、言葉はなかったとしても、神様はわたしたちの傍にいてわたしたちの苦しみを一緒に苦しんでおられます。わたしたちが泣いているなら、神様もわたしたちと一緒に泣いておられます。そんなとき神様は、沈黙によってわたしたちに語りかけているのです。どんなにつらいときにも、沈黙に込められた愛の響きを感じ取ることができますように。勘違いして、神様を恨むことがありませんように。
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