やぎぃの日記(63)教会学校キャロリング


 もう1週間前のことになるが、12月12日の午後、およそ40人の教会学校の子どもたちがJR六甲道駅の前でキャロリングをした。昨年は吹きすさぶ寒風に苦しめられたが、幸い今年は風もなく、暖かな日差しの中でのキャロリングになった。
 駅を利用するたくさんの人たちの中には、子どもたちをちらっと見ただけで無視して通り過ぎて行く人も多かったが、「おや、なんだろう」という顔をして立ち止まり、子どもたちがクリスマスの歌を歌っているのだとわかるとにっこり微笑んで耳を傾ける人も多かった。そのほかに子どもたちの父兄もたくさん来ていたので、子どもたちのまわりに大きな人の輪ができた。
 駅から出てくる人たちを見ていたとき、1人のおばあさんが目にとまった。大きく曲がった腰で、階段を一歩一歩ゆっくり下りてくる彼女の表情は、まるで今の暗い世相を反映したかのように険しかった。ようやく階段を降り切ったところで一息つきながら、彼女もやはり「おやっ」という顔で子どもたちの方を見た。すると彼女の表情から見る見るうちに険しさがとれてゆき、やがて輝くような微笑みが浮かんだ。あれほど劇的な表情の変化を、あまり見たことがない。
 そんな様子を見ながら、わたしの心にも少しずつ静かな喜びが湧き上がってきた。子どもたちの歌声が、確かに人々の心に「神の愛」を運んでいると実感したせいかもしれない。子どもたちの歌声に込められた喜びがわたしの心にも深くしみこみ始めたということもあるだろう。年末の忙しさに閉じ込められた心が、御降誕の喜びに向かって少しずつ開かれていくのがわかった。
 素直な喜びにあふれた子どもたちの歌声には、人の心の深い部分に愛を伝える不思議な力があるようだ。これほどの福音宣教は、そう他にないだろう。
※写真の解説…JR六甲道駅のロータリーでキャロリングする子どもたち。